2006 Fiscal Year Annual Research Report
加齢による全身麻酔薬作用の修飾機序に関する基礎的研究
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17591620
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
廣田 弘毅 富山大学, 大学院医薬学研究部, 助教授 (30218854)
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Keywords | 静脈麻酔薬 / 海馬 / シナプス伝達 / 加齢 / 刺激頻度依存性 |
Research Abstract |
目的:静脈麻酔薬の作用の強さ(potency)は,加齢により変化するとざれているが,これは主に臨床において経験的に得られた知見であり,基礎的なエビデンスは乏しい.これまでに我々はラット脳スライス標本を用い,静脈麻酔薬は抑制性シナプス伝達を促進するが,その作用は加齢により減弱する事をin vitroで示した.今年度は加齢による静脈麻酔薬作用の修飾メカニズムを検討した. 方法:ウィスター系雄性ラットを生後4週以内の若年群(Y群)と20週以上の老齢群(E群)に分けた.ラットを麻酔後断頭して海馬を摘出し,海馬スライス標本(400μm)を作成した.スライスは実験用チャンバー内のliquid/gas interface上に置き,人工脳脊髄液(pH=7.4)および95%O_2/5%CO_2混合ガスを還流した(37℃).シャーファー側枝に電気刺激電極,CA1錐体細胞領域に記録電極を刺入し興奮性シナプス伝達を記録した.また海馬白板に第2の刺激電極を置き,抑制性介在ニューロンを活性化することにより,抑制性シナプス伝達の影響を検討した. 結果:静脈麻酔薬(チオペンタール,プロポフォール)の作用は刺激頻度依存性を示し,高頻度刺激により減弱する傾向を認めた.この刺激頻度依存性はE群で減弱する傾向を示した. 結語:ラット海馬スライス標本において,静脈麻酔薬の刺激頻度依存性は加齢によって修飾を受けた.これにはGABA再取り込み機能の加齢性変化が関与する可能性がある.
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