2006 Fiscal Year Annual Research Report
周術期心筋虚血後の心のリモデリングにおける線溶系因子の役割と臨床的意義
Project/Area Number |
17591623
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
赤松 繁 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 非常勤講師 (20167828)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 修 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90225417)
土肥 修司 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40155627)
|
Keywords | 血小板 / 血栓 / ストレス蛋白質 / 分子シャペロン / 凝固・線溶系 |
Research Abstract |
細胞がストレスに曝露されると、一連のストレス蛋白質(heat shock protein, HSP)が誘導される。HSPはその分子量によって、高分子量HSPと低分子量HSPの2つのグループに分けられている。高分子量HSPは生体防御において分子シャペロンとして中心的役割を果たすことがよく知られている。一方、HSP27は低分子量HSPファミリーの一員であり、種々の組織に存在することが報告されているが、リン酸化によりその機能が修飾されることが報告されている。しかしHSP27役割およびそのリン酸化の生理的意義の詳細は未だ明らかとされていない。今回私共は、血栓症において、その形成に強く関与すると思われる血小板の機能に注目し、血小板凝集における細胞内情報伝達機構の解析をHSP27のリン酸化との関連において検討し、以下の点を明らかとした。 1.血小板においてADPはp44/p42MAPキナーゼ,p38MAPキナーゼおよびSAPK/JNKを活性化した。更に、これらの蛋白質の活性化に伴いHSP27の二箇所のセリンのリン酸化が惹起されることを明らかとした。 2.ヒト血小板上に存在するADPの受容体である、P2Y1受容体およびP2Y12受容体のアンタゴニストを用い、ADPによる細胞内情報伝達機構を検討した。P2Y1受容体のアンタゴニストでは認められなかったがP2Y12受容体アンタゴニストによりADPによる血小板凝集能は用量依存性に抑制された。また、これに伴いp44/42MAPキナーゼ,p38MA.PキナーゼおよびSAPK/JNKの活1生化は抑制された。さらに、ADPによるHSP27のリン酸化も濃度依存性に抑制されることを見出した。 以上の結果から、血小板においてADPはP2Y12受容体を介し血小板凝集能を促進していること及び同時にHSP27のリン酸化を促進することが明らかとなった。
|