2005 Fiscal Year Annual Research Report
MRSpectroscopyを用いた局所脳神経機能測定法の開発
Project/Area Number |
17591625
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
福井 聖 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (80303783)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椎野 顕彦 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (50215935)
野坂 修一 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80237833)
犬伏 俊郎 滋賀医科大学, MR医学総合研究センター, 教授 (20213142)
|
Keywords | MR Spectroscopy / 局所脳神経機能 / 視床 / 前頭前野 / 前帯状回 |
Research Abstract |
慢性疼痛患者に核磁気共鳴スペクトロスコピーMR spectroscopy(以下:MRS)を施行し、プロトンMRS(^1H-MRS)で得られた脳神経機能の指標であるNAA(Nアスパラギン酸)濃度を測定した。 慢性疼痛患者15人[CRPS(Complex regional pain syndrome)type-1;7人、帯状疱疹後神経痛;1人、脊椎手術後疼痛;5人、線維性筋痛症;1人、腕神経叢引き抜き損傷;1人]において、痛みの認知に関与する前頭前野、痛みの情動面に関与する前帯状回、及び視床のNAA濃度を測定し、慢性疼痛の局所脳神経機能に及ぼす変化を調べた。 ^1H-MRSでは左右の前頭前野、前帯状回、視床の領域を決定し、LC modelによる解析を用いて各領域のNAA濃度を測定し、健常人15人で得られた正常値と比較した。 NAA濃度の低下が認められた患者は前頭前野で4人、前帯状回で6人、視床でのみ低下が認められた患者が3人、すべてが正常であった患者が4人であった。 NAA濃度の低下が前頭前野、前帯状回で認められた患者は心療内科的アプローチを必要とし、視床でのみ低下が認められた患者、すべてが正常であった患者では知覚へのアプローチのみで対処可能であった。 また痛みの強さと視床のNAA濃度に逆相関が認められた。一方罹病期間と視床のNAA濃度の相関は認めなかった。 今回の研究で^1H-MRSを用いて慢性疼痛という認知、情動が関わる主観的な対象を、視床、前帯状回、前頭前野の局所脳神経活動という客観的なものに反映させることが可能になった。これらの結果から非浸襲的で身体に負担をかけない^1H-MRSは、慢性疼痛患者の評価法として、新しい検査法になりえる可能性があると考えられた。
|
Research Products
(1 results)