2006 Fiscal Year Annual Research Report
MRSpectroscopyを用いた局所脳神経機能測定法の開発
Project/Area Number |
17591625
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
福井 聖 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (80303783)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椎野 顕彦 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (50215935)
野坂 修一 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80237833)
犬伏 俊郎 滋賀医科大学, MR医学総合研究センター, 教授 (20213142)
|
Keywords | MR Spectroscopy / 局所脳神経機能 / 前頭前野 / 前帯状回 / 視床 |
Research Abstract |
慢性疼痛患者に核磁気共鳴スペクトロスコピーMR spectroscopy(以下:MRS)を施行し、プロトンMRS (^1H-MRS)で得られた脳神経機能の指標であるNAA (Nアスパラギン酸)濃度を測定した。 慢性疼痛患者48人[CRPS (Complex regional pain syndrome) type-1;12人、帯状庖疹後神経痛;6人、脊椎手術後疼痛;7人、外傷性頚部症候群;5人、など](17〜72歳;男性24人、女性24人;病悩期間3ヶ月〜20年)において、前頭前野、前帯状回、及び視床のNAA濃度を測定し、慢性疼痛の局所脳神経機能に及ぼす変化を調べた。 ^1H-MRSでは左右の前頭前野、前帯状回、視床の領域を決定し、LC modelによる解析を用いて各領域のNAA濃度を測定し、健常人23人(25〜65歳;男性9人、女性14人、計23人)で得られた正常値と比較した。 NAA濃度の低下が認められた患者は前頭前野で6人、前帯状回で10人、視床でのみ低下が認められた患者が7人、すべてが正常であった患者が26人であった。 NAA濃度が各領域において正常であった患者あるいは視床でのみ低下を認めた患者では神経ブロック療法を中心としたペインクリニック的アプローチで対処可能であった。一方、頭前野あるいは前帯状回においてNAA濃度の低下を認めた患者ではペインクリニック的アプローチのみならず、心療内科的アプローチを必要とした。 今回の研究結果から、非浸襲的で身体に負担をかけない^1H-MRSは、慢性疼痛患者の評価法として、新しい検査法になりえる可能性があると考えられた。 ^1H-MRSは、治療方法の選択にも役立ち、慢性痙痛患者の視床、前頭前野、前帯状回の神経機能の非侵襲的な評価法として有用で、これらの領域の情報は、慢性疼痛の病態把握の向上に寄与できる可能性があると考えられた。
|
Research Products
(4 results)