2006 Fiscal Year Annual Research Report
判決からみた麻酔関連領域患者への説明義務内容の検討
Project/Area Number |
17591626
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
野坂 修一 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80237833)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 正一 東京大学, 大学院医学研究科, 客員助教授 (20396708)
|
Keywords | 麻酔科学 / 医事紛争 / 判決 / 説明義務 |
Research Abstract |
麻酔科関連領域での判例で、2004年の判例を一部含め、引き続き説明義務違反に関連したものを収集し検討した。その他に、地方裁判所の医療集中部における報告文献からの症例も収集し検討した。これらの検討では、説明されていない医療行為は改めて説明すること、説明の内容としては一般的な治療ばかりではなく、ある程度有効な治療があれば説明すること、その説明も一般的な説明のみではなく、患者の個々の事情を考慮し個別的な説明をすることなどが認容されていた。これらの結果、説明義務に関する法的解釈としては、従来からの合理的医師基準説が多くの判例では採用されていると考えられていたが、最近の判例では、具体的患者基準説が新たに採用されていると推察された。また、近年、説明義務違反が理由で医療側が敗訴となる例が増加していた。医療側としては、この説明に関してはより患者本位に立った説明内容に移行すべきと思われた。次に国外での麻酔科領域での説文書等の収集を始めた。まず、病院として、患者の同意を取得する際の基本的な医師用ガイドラインの作成文を収集した。19ページに及ぶもので、倫理的な内容を含むものであった。医師の研修用として充分利用できる内容であった。麻酔用説明書としては、1つの外国大学病院の説明書は全体として2ページでより簡潔されたものであった。その内容としては、麻酔の合併症としてより頻度の少ない合併症も記述されていた。また、どんな有能な麻酔科医が科学的根拠に基づいて麻酔を行っても100%の安全はあり得ないと強調されていた。麻酔の不確実性を強調していた。これは別の国外の病院の麻酔科用説明書でも言及されていた。
|
Research Products
(1 results)