2007 Fiscal Year Annual Research Report
判決からみた麻酔関連領域患者への説明義務内容の検討
Project/Area Number |
17591626
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
野坂 修一 Shiga University of Medical Science, 医学部, 教授 (80237833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 正一 東京大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (20396708)
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Keywords | 麻酔科学 / 医事紛争 / 判決 / 説明義務 |
Research Abstract |
麻酔科関連領域での医事紛争した症例で,引き続き説明義務違反に関連すると考えられた症例を収集し検討した。全身麻酔症例での腹臥位で生じた顔面皮膚損傷に関してクレームがあり医事紛争化した。しかし,説得により納得された。この皮膚損傷に関しては術前の麻酔説明に記載がなかった。この症例を麻酔の説明から検討すると,説明するのがのぞましい内容として,(1)生命に危険を及ぼす可能性のあるもの(2)不可逆的な損傷(3)発生頻度が高いもの(4)美容に関するものが想定される。この症例はこの美容に関するものと考えられ,今までの判例よりの解釈では,具体的患者基準説に合致し今後問題にすべきと考えられた。次に国外の市販の麻酔の説明書を入手した。その内容を滋賀医科大学の麻酔の説明書と比較検討した。医学用語を麻酔専門語と一般的用語の併記で説明している。医学的解剖の図が挿入されている。100%の安全はありえないと太い文字で記載されている。歯列の記載がある。合併症の頻度に関しては,数字ではなく,言葉で説明。さらに同意書に関しては,患者との対話,質問を記載する欄が設定されている。以上が主な相違点であった。日本での判例からの検討では,根底には合理的医師基準説があり,その上に具体的患者基準説が加味されたと考えられた。内容は約6ページで簡潔にしようとしていると思われた。今後は,より専門性の高い病院,大学などでの麻酔の説明書のあり方の国内外での比較検討,その内容として,どんな要因がその説明内容を変更させるのか,検討すべきと思われた。
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