2006 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄保護におけるインスリンの新たな役割に関する研究
Project/Area Number |
17591633
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松本 美志也 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (60243664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 靖彦 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (90304485)
山下 敦生 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (50379971)
坂部 武史 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40035225)
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Keywords | spinal cord ischemia / rabbit / insulin-like growth factor1 / paraplegia |
Research Abstract |
平成18年度は、家兎一過性脊髄虚血モデルにおいて、insulin like growth factor1(IGF)の虚血前腰部脊髄くも膜下投与の保護効果について検討した。 【方法】24羽の家兎をC群(対照)、IV0.3群(IGF0.3mg/kg静脈内投与)、IT0.03群(IGF0.03mg/kgクモ膜下腔投与)、IT0.1群(IGF0.1mg/kgクモ膜下腔投与)の4群(各6羽)に分けた。イソフルランによる全身麻酔下に家兎を腹臥位とし、第5,6腰椎椎弓間より尾側向きにクモ膜下に薬液注入用のカテーテル(PE-10)を挿入した。2日後神経学的障害のないことを確認し全身麻酔下にIT.03,IT0.1群でクモ膜下カテーテルより虚血30分前にIGFを投与した。C群では生理食塩水を投与した。IV0.3群では静脈内投与を行った。その後、腹部大動脈を左腎動脈直下で13分間遮断し脊髄虚血を行った。虚血前より体温は38度に維持し、脊髄機能を評価するために分節性脊髄誘発電位をモニターした。再灌流7日後まで後肢運動機能を5段階(0=対麻痺、1=後肢がわずかに動く、2=後肢はよく動くが跳躍不可、3=跳躍可能だが正常ではない、4=正常)で評価した。最終の神経学的評価を行った後に、全身麻酔下に脊髄を灌流固定しHE染色した。腰部脊髄膨大部の腹側脊髄の正常神経細胞数を計測した。 【結果】血糖値はいずれも4群間で有意差はなかった。再還流7日後の後肢運動機能スコアはIV0.3群において6羽中4匹が正常であったが他の3群と比べ統計的有意差はなかった。腰部脊髄膨大部の腹側脊髄の正常神経細胞数にも4群間で有意差はなかった。 【考察】一過性脊髄虚血において虚血前IGFくも膜下投与による保護効果は認められなかった。またIGF静注群でも虚血前血糖値が高かった2羽では神経学的予後は悪かった。IGFによる脊髄保護効果はIGFによる直接作用による割合が小さいか、あるいはあったとしても容易に軽度〜中等度高血糖で効果が消失すると考えられる。
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