2005 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮増殖因子の修飾による脳浮腫形成機序の解明と治療応用に関する研究
Project/Area Number |
17591634
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
飯田 靖彦 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (90304485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 光剛 山口大学, 医学部附属病院, 医院 (60379972)
佐伯 仁 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (80379958)
山下 敦生 山口大学, 医学部, 助手 (50379971)
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Keywords | 脳浮腫 / 脳虚血 / 脂肪塞栓 / 血管内皮増速因子 / アストロサイト |
Research Abstract |
脳虚血や心臓手術後にみられる脂肪塞栓ではしばしば脳浮腫が生じる.脳浮腫の病態には,血液脳関門(BBB)を形成する血管内皮と内皮細胞相互のtight junction, basal laminaおよびアストロサイトのendfeet,水チャネルアクアポリン(AQP)4などが関わっており,最近の研究では,脳虚血や脳外傷後の脳浮腫の増強/進展に血管内皮増殖因子(VEGF)の関与が注目されている. 本年度は脳虚血時および脂肪塞栓の脳浮腫における脳水分量,basal lamina変化,およびAQP4,VEGFの発現変化を検討した.Wistar ratを用い,イソフルラン麻酔下に実験を行った.脳虚血はモノフィラメント糸による中大脳動脈閉塞(MCAO)2時間で作成した.脂肪塞栓は右外頚動脈断端から総頚動脈分岐部にカテーテルを留置し,99% triolein 2μLを5分かけて注入し作成した. 脳乾燥重量法による脳水分量は,脳虚血では数日経過して増加するのに対し,脂肪塞栓では2時間後から著明な増加がみられた.AQP4については,脂肪塞栓で早期から傷害周辺部での染色性亢進がみられ,Glial fibrillary acidic protein (GFAP)の染色性も傷害部周辺で軽度亢進した.Type IVコラーゲン抗体によるbasal laminaの染色性は低下して,脳脊髄関門の障害が早期からおこることが示唆された.これらの変化は脳虚血後では脂肪塞栓に比べ緩やかな傾向を示した.現在さらにアストロサイトにおけるVEGFと、血管側でのVEGF受容体(Flk-1/KDR),およびコラーゲン分解酵素matrix metalloproteinase (MMPs)2,9の経時的発現の検討を行っており,これらの観点から脂肪塞栓と脳虚血の病態の相違を確認し,治療法の展開を目指す予定である.
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