2006 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮増殖因子の修飾による脳浮腫形成機序の解明と治療応用に関する研究
Project/Area Number |
17591634
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
飯田 靖彦 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (90304485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 仁 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (80379958)
山下 敦生 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (50379971)
石田 和慶 山口大学, 大学院医学系研究科, 助手 (80314813)
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Keywords | 脳浮腫 / 脳虚血 / 脂肪塞栓 / 血管内皮増殖因子 / アストロサイト |
Research Abstract |
脳虚血や心臓手術後にみられる脂肪塞栓ではしばしば脳浮腫が生じる。脳浮腫の病態には血液脳関門(BBB)を形成する血管内皮と内皮細胞相互のtight junction, basal laminaおよびアストロサイトのendfeet、水チャネルのアクアポリン(AQP)4などが関わる。昨年は局所脳虚血及び脂肪塞栓において、脳浮腫・脳水分量の変化、basal laminaの変化、AQP4の発現を検討した。脳虚血に比べて脳脂肪塞栓では浮腫が2時間で形成・完了し、AQP4の染色性が障害早期から周辺部で更新し、basal laminaの染色性は低下し、早期から水チャネルAQP4およびbasal laminaの破綻を介した脳浮腫が生じていることを示した。 本年は血管内皮増殖因子(VEGF)の病態への関与を示すため、同様に局所脳虚血及び脂肪塞栓モデルにおけるVEGFの発現を検討した。Wistar ratを用い、イソフルラン麻酔下に実験を行った。脳虚血はモノフィラメント糸による中大脳動脈閉塞(MCAO)を2時間行った。脂肪塞栓は右外頚動脈断端から総頚動脈分岐部にカテーテルを留置し、99%triolein 2μLを5分かけて注入し作成した。各々障害後2時間、1日、3日後に免疫染色を行い評価した。 VEGFは脂肪塞栓群では2時間後から染色され1日、3日と染色性は増加した。脳虚血群では2時間後の染色は明らかではなかったが、1日、3日と染色性は増加した。 VEGFは脂肪塞栓および脳虚血において発現しており脳浮腫の形成に関与している可能性が示唆されたが、脂肪塞栓では早期の脳浮腫形成に関与している可能性があることがわかった。
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