2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト血管平滑筋を用いた敗血症ならびに人工心肺時における血管反応性に関する研究
Project/Area Number |
17591644
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
恒吉 勇男 University of Miyazaki, 医学部, 教授 (90301390)
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Keywords | 血管平滑筋 / 敗血症 / 人工心肺 / ショック / 血管反応性 / ヒト血管 |
Research Abstract |
Angiotensin II (ANG II)は強力な血管収縮ホルモンであるが、ヒト血管における反応性はよく判っていない。そこで、冠動脈バイパスグラフト術で使用された胃大網動脈(GEA)の余剰遠位端を用いANG IIの血管反応性を検討した。【方法】摘出されたGEA(n=56)から結合組織を剥離し動脈リング標本を作成し37℃に加温したオルガンバス内で等尺性張力を測定した。張力は10^<-6>mol/Lノルアドレナリン収縮を相対張力1.0に換算して求めた。実験1:生体濃度のANG II (10 ng/mL)を30分間隔で繰り返し6回投与し収縮反応の変化を検討した。実験2:7回目の収縮反応に対しcyclooygenage inhibitorのインドメタシン10^<-5>mol/L、 KATPチャンネルブロッカーのグリベンクラミド10^<-6>mol/L、 NO synthase inhibitorであるL-NAME l0^<-4>mmol/LをANG IIと同時にそれぞれ投与し収縮力の変化を観察した。【結果】ANGIIはGEAにおいて強い収縮反応を示したが、同一濃度ANG IIを30分間隔で繰り返し投与した場合、著しい収縮減弱(tachyphylaxis)を生じ、約5-6回で収縮力はほぼ消失した。一方、この収縮減弱に対しインドメタシンはtachyphylaxis前の収縮力に回復させた(P<0.01)。グリベンクラミド、L-NAMEには同様の収縮改善作用はなかった。また、インドメタシンによるANG IIのtachyphylaxis反応阻害効果に対する細胞内伝達機序を解明するためcAMPおよびcGMP阻害薬を用いて検討したが、両薬剤はインドメタシンによるANGII収縮改善効果を抑制しなかった。【結語】ANG IIはヒト胃大網動脈を強力に収縮させるが、急速にtachyphylaxisを生じ収縮力は減弱する。また、その収縮反応の改善にはアラキドン代謝系が関与している可能性が示唆されたが、cAMPおよびcGMP等の細胞内伝達系は関与せず、その上流の反応系が関与している可能性が示唆された。
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