2006 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔薬の新規脳保護定量解析法:特異的キナーゼをマーカーとした免疫沈降法の活用
Project/Area Number |
17591652
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
松本 晶平 東京医科大学, 医学部, 講師 (30256250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室園 美智博 東京医科大学, 医学部, 講師 (70276947)
渡辺 泰雄 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (70183720)
一色 淳 東京医科大学, 医学部, 教授 (60074796)
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Keywords | 吸入麻酔薬 / CaMKII / 免疫沈降法 / 脳保護作用 / NMDA / NR2 / リン酸化チロシン |
Research Abstract |
我々は、マウスに吸入麻酔薬イソフルレン、セボフルレンを吸入させた後、断頭により脳虚血を作成し、脳内N-methyl-D-aspartate(NMDA)レセブターサプユニットNR2A、NR2Bのチロシンリン酸化を測定した。また、それらサブユニットとカルシウム・カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII(CaMKII)との相互作用(インタラクション)を測定した、,測定には、免疫沈降法及び、ウェスタンプロット法を用いた。 方法:雄性C57/blackマウスを用い、断頭により虚血を作成する。断頭後に37℃の生食で3分から5分のインキュベートを行い、-80℃で保存した.断頭前にイソフルレンおよびセボフルレン1MAC、2MACの吸入を行った。 マウス頭部を冷凍グロープボックス内で切り出し、脳を摘出、大脳半球を分離し、ホモジナイズ後、NR2A、NR2Bのチロシンリン酸化蛋白に対して、免疫沈降を行った。SDS-PAGEを行い、抗NR2A抗体、抗NR2B抗体でウェスタンブロットを行った、また、リン酸化CaMKIIとNR2A、NR2Bのインタラクションを免疫沈降で測定した, 結果:イソフルレン、セボフルレン吸入により、NR2Aのリン酸化は低下していた。NR2Bではそれが明らかではなかった.この傾向は、吸入麻酔薬の濃度にある程度依存していると推察される。リン酸化CaMKIIとNR2A、NR2Bのインタラクションについては、NR2A、NR2Bともに吸入麻酔薬の影響が確認できるに至っていない。 考察:イソフルレン、セボフルレンによるCaMKIIのトランスロケーション抑制が、リン酸化したCaMKIIとNR2Aサブユニットのインタラクションを低下させ、チロシンリン酸化を減少させることによって、NMDAレセプターの活性化を抑え、脳保護作用をもたらしていると考えられた。
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