2005 Fiscal Year Annual Research Report
NMDA受容体拮抗薬の鎮痛薬としてのオピオイド削減効果に関する研究
Project/Area Number |
17591658
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
下山 直人 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 研究員 (40196572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下山 恵美 千葉大学, 大学院, 医学研究員・講師 (10206253)
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Keywords | NMDA受容体拮抗薬 / オピオイド削減効果 / アモキサピン / クロナゼパム |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画では基礎研究を基に、経口のNMDA受容体拮抗薬に関する臨床研究を計画したが、NMDA受容体拮抗薬の経口薬剤をもとにした研究はこれまでにほとんど例がないため、まず(1)通常臨床で使用されるケタミン静脈投与とオピオイド併用による有効性、安全性に関する研究が必要であると判断し、それを開始した。臨床においてNMDA受容体拮抗薬のオピオイド削減効果の有無をまず確認することを目的とした。また(2)経口薬剤に関しては、NMDA受容体拮抗薬に先駆けて、日常で一般的に神経障害性疼痛に使用されている抗けいれん薬のクロナゼパム、抗うつ薬のアモキサピンによるオピオイド減量効果が見られるどうか、を検討した。有効性の評価はVASもしくはBrief Pain Inventory(BPI)で行った。 「結果」 1.がん性疼痛患者で、オピオイドが持続静注されておりオピオイドによる追加投与が疼痛に対して有効である(神経障害性疼痛ではない、通常の侵害性疼痛)患者に対して、ケタミン50mg/dayを開始量とし、50mg/dayずつ増量した。8例に併用効果を検討した。開始量50mg/day投与にてオピオイド投与量削減効果が判定できた症例は7例であり、300mg/dayにて効果が見られた例は1例であった。いずれもNMDA受容体拮抗薬であるケタミンによる意識レベルへの影響、オピオイドによる吐き気の増強は見られなかった。 2.経口モルヒネ徐放製剤、もしくはオキシコドン徐放錠を服用し、モルヒネ速放製剤剤投与によって鎮痛効果が見られる患者で、オピオイド徐放製剤の増量が必要である症例に対し、オピオイドの増量に代わって鎮痛補助薬の増量を行い、オピオイド削減効果を検討した。鎮痛補助薬として抗けいれん薬のクロナゼパム0.5mgmまたは抗うつ薬であるアモキサピン25mgを眠前に投与した。3例すべてにおいてオピオイドの鎮痛効果の増強が確認できた。 症例数はまだ少ないが、いずれの結果からも鎮痛補助薬は神経障害性疼痛だけでなく、侵害性疼痛に対してもオピオイドの鎮痛効果の増強、すなわちオピオイド削減効果を持っていることが示唆された。
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