2006 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱尿管逆流症におけるウロプラキンIIIの意義と尿中mRNA定量による検査法の確立
Project/Area Number |
17591673
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
上仁 数義 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (90324590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉貴 達寛 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (80230704)
成田 充弘 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (00263046)
影山 進 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (50378452)
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Keywords | 膀胱尿管逆流症 / ウロプラキンIII / スクリーニング検査 / 定量的PCR |
Research Abstract |
膀胱尿管逆流症(VUR)は最も頻度が高い尿路先天奇形で、一般的認識を超えて、潜在的VURは全小児の10%以上と報告されている(Campbell urology)。ウロプラキンIII (UPIII)は、尿路上皮の細胞膜に特異的に発現するウロプラキン蛋白質群の構成蛋白質の一つである。UPIIIノックアウトマウスにおいて高度のVURが発生したという研究報告から、われわれはVURにおけるUPIII遺伝子発現量の異常に着目し、簡便かつ非侵襲的なVURスクリーニング法の確立を目指して研究を行った。実験方法は、リアルタイムPCR法による定量的PCR法である。第一段階として、12人の正常膀胱上皮と比較して、VUR患者21例の膀胱上皮組織において、UPIIImRAが統計学的に有意に過剰発現していることを証明した。次に、この現象をVURスクリーニング検査方法として利用することを目的とし、尿中剥離細胞中のUPIIImRNAの定量的解析を行った。VUR患者尿21検体と健常人の自然排泄尿38検体を対象として、定量化した各試料の尿中UPmRNA相対値(内部コントロール遺伝子はGAPDH)を元に、複数のカットオフ値の意義をROC曲線を用いて比較検討した。その結果、至適カットオフ値は95UPmRNAコピーで、VUR検出感度が77.8%、特異度が76.3%であった。カットオフ値を特異度が100%になるように高く設定した場合でも、感度は55.6%に達した。現時点で、非侵襲的なVURスクリーニング法は皆無であるので、われわれが開発した方法の臨床的意義は十分に期待できるものである。
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