2005 Fiscal Year Annual Research Report
尿路上皮癌における新規癌抑制遺伝子periostinの転移・浸潤抑制機構の解析
Project/Area Number |
17591675
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
礒野 高敬 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (20176259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 寛一 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (30176440)
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Keywords | 膀胱癌 / 癌細胞 / 転移 / 浸潤 / periostin / transcript variants |
Research Abstract |
研究の目的:ヒト膀胱癌細胞株にレトロウイルスベクターを用いてアルーターネイティブスプライシングによりC末領域を異にするperiostinを導入し、転移・浸潤に及ぼす影響の解析と、C末領域を異にするperiostinと結合する蛋白の同定、解析によって、尿路上皮癌悪性化に関わる転移・浸潤に対するperiostinの作用機構を明らかすることである。 研究実施計画により得られた知見: 1.ヒト膀胱癌細胞株とヒト尿路上皮癌組織におけるperiostin transcript variantsの発現を、RT-PCR法により検討した結果、正常なsplicingで生じるtranscript(WT)は、正常膀胱組織では100%発現していたが、膀胱癌組織では、18.8%しか発現していなかった。一方、alternative splicingにより生じるvariantsは、正常膀胱組織だけでなく、膀胱癌組織(75.0%)でも高頻度に発現していた。 2.ヒト膀胱癌細胞株にperiostin transcript variantsをレトロウイルスベクターにより導入した細胞株を作製し、細胞の浸潤能を検討した結果、WTは浸潤能を抑制したが、variantでは抑制効果が減少していた。 3.periostinトランスクリプトバリアントを導入した癌細胞の肺への転移を検討した結果、WTは転移能を抑制したが、variantでは抑制効果が減少していた。 4.WT periostinタンパク質と結合するタンパク質を免疫沈降法により分離し、MAPK pathwayに関わるタンパク質を同定した。 これらの結果から、WT periostin transcriptの発現が癌の浸潤・転移抑制と密接に関連していると考えられた。その作用機構としてMAPK pathwayの関与が示唆された。
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