2006 Fiscal Year Annual Research Report
尿路上皮癌における新規癌抑制遺伝子periostinの転移・浸潤抑制機構の解析
Project/Area Number |
17591675
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
礒野 高敬 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (20176259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 寛一 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (30176440)
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Keywords | 膀胱癌 / 癌細胞 / 転移 / 浸潤 / periostin / transcript variants / TAK1 |
Research Abstract |
研究の目的:ヒト膀胱癌細胞株にレトロウイルスベクターを用いてアルーターネイティブスプライシングによりC末領域を異にするperiostinを導入し、転移・浸潤に及ぼす影響の解析と、C末領域を異にするperiostinと結合する蛋白の同定、解析によって、尿路上皮癌悪性化に関わる転移・浸潤に対するperiostinの作用機構を明らかする。 研究実施計画により得られた知見: 1.ヒト膀胱癌細胞株にperiostin transcript variantsをレトロウイルスベクターにより導入した細胞株の浸潤能を検討した結果、3つのエクソンを欠失したvariantではWTの持つ浸潤抑制効果が減少したが、2つまたは1つのエクソンを欠失した他のvariantではWTと同様の浸潤抑制効果があった。 2.Flag tagを導入したWTのperiostinを高発現する系から、このタンパク質に結合するタンパク質としてTAB1を同定し、TAB1と結合してMAPK経路を活性化するTAK1が、periostinを高発現する系でリン酸化し活性化することを見いだした。 3.膀胱癌細胞株にレトロウイルスベクターでWTのperiostinトランスクリプトを導入し、浸潤能が抑制された細胞と親株細胞の間で変動するタンパク質として、神経分化栄養因子レセプターファミリータンパク質を同定し、このタンパク質とこの抑制能との関連ならびにTAK1を介したMAPK経路との関連を検討中である。 4.免疫組織化学的解析から、periostinは、膀胱正常組織の間質に層状に分布したが、癌組織では消失しており、膀胱組織の構造維持により転移抑制的に働いていることが示唆された。 これらの結果から、WT periostinの発現が尿路上皮癌悪性化に関わる転移・浸潤に対して抑制能を持ち、その作用機構としてTAK1を介したMAPK経路の関与が示唆された。
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