2005 Fiscal Year Annual Research Report
複雑性・反復性尿路感染症における大腸菌細胞内侵入因子とバイオフィルム産生能の解析
Project/Area Number |
17591677
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
山本 新吾 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (80322741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 修 京都大学, 医学研究科, 教授 (90260611)
塚本 泰司 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50112454)
水之江 義充 九州大学, 医学研究院, 助教授 (20157514)
国島 康晴 札幌医科大学, 医学部, 助手 (00315508)
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Keywords | 尿路病原性大腸菌 / 病原遺伝子 / 単純性膀胱炎 / 複雑性膀胱炎 / 無症候性細菌尿 |
Research Abstract |
単純性膀胱炎を引き起こす尿路病原性大腸菌の病原遺伝子については多数の研究報告がなされているが、複雑性膀胱炎や無症候性細菌尿の原因菌についての研究はいまだ充分な検討はなされていない。 我々は、2000年から2004年の間に札幌医科大学付属病院において分離同定された尿路由来大腸菌株161株(単純性膀胱炎由来(UC)72株、複雑性膀胱炎由来(CC)38株、複雑性無症候性細菌尿由来(CABU)50株)に対し、その臨床背景、保有病原因子遺伝子(afa, aer, cvaC, cnf1, ETTT, fimH, fyuA, hly, ibeA, iha, iroN, kpsMT, ompT, PAI, pap, sfa/foc. traT, usp)、系統分類、O血清型、バイオフィルム形成能に関して比較検討した。 病原因子遺伝子の分布では、UC群と比較して、CC群ではpapの保有頻度が低く(UC vs CC;40%vs16%、p<0.01)、CABU群ではiha、aer、traTの保有頻度が有意に低かった(それぞれ、UCvsCABU;32%vs10%,p<0.01、50%vs28%,p<0.05、82%vs60%,p<0.05)。しかし、その他の病原性に強く関与すると考えられている遺伝子については各群間における保有率に有意差を認めなかった。系統分類、O血清型、バイオフィルム形成能においても3群間に有意な差を認めなかった。 これらの結果から、類似した特徴をもつ大腸菌株が単純性・複雑性、症候性・無症候性のいずれの病態も惹起しうるものと考えられ、発症形態の違いは細菌側因子よりもむしろ宿主側因子が大きく関与している可能性が示唆された。今後はさらに別地域で収集された大腸菌株についても比較検討することを予定している。
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