2006 Fiscal Year Annual Research Report
スタチンによるRho-Rhoキナーゼ系調節を介した前立腺癌進展制御機構の解析
Project/Area Number |
17591684
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
井川 掌 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (40295069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 康好 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (60380888)
酒井 英樹 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40235122)
金武 洋 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (50100839)
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Keywords | スタチン / 低分子量G蛋白 / PC-3細胞 / 前立腺癌 / p38MAPK / IL-6 |
Research Abstract |
昨年度の結果に基づき本年度は以下の点について検討を行った。 1.スタチン投与による細胞運動性の変化 PC-3細胞を用い、この培養系に種々のスタチン(pravastatin, fluvastatin, simvastatin)を添加し、その運動性についてトランズウェルを用いた検討を行った。 その結果、何れのスタチンも用量・時間依存性にPC-3細胞の増殖を抑制した。その効果は概ね細胞増殖抑制効果と同様にpravastatin<fluvastatin<simvastatinの順であった。 2.SAPKsの発現変化とIL-6 昨年度の検討結果、スタチン投与によりphospho-MAPK, phosphor-JNKおよびphosphor-p38MAPKの発現上昇が観察されたが、特にStress Activated Protein Kinases (SAPKs)であるp38MAPK, JNKについて前立腺癌のautocrine growth stimulatorとして作用することが知られているInterleukin-6(IL-6)との関連について検討したところ、IL-6の分泌調節にはp38MAPKが主たる促進因子として作用していることがわかった。この点についてはさらにスタチン投与との関連性について解析を進めているところである。 4.これまでの結果のまとめ スタチン投与により、PC-3細胞の強い増殖抑制とともに細胞運動の抑制が観察された。おそらくはRho, Raclなどの低分子量G蛋白の発現変化により惹起されたものと予想されるが、現時点では詳細な関連性については結論が得られていない。また、派生して得られた知見としてアンドロゲン非依存性前立腺癌細胞におけるIL-6分泌調節にストレス関連分子の1つであるp38MAPKが重要な役割を持っていることが示された。
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