2006 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞特異的シグナル伝達経路の解析と低酸素状態のおよぼす影響の検討
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17591686
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
神田 滋 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 客員研究員 (20244048)
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Keywords | 血管新生阻害療法 / 分子標的療法 / 血管内皮細胞 / Src / Fes / HGF / angiopoietin 1 / 低酸素 |
Research Abstract |
・血管内皮細胞のシグナル伝達経路解析 血管新生は、複数の血管新生促進分子(VEGF, FGF-2,HGF, angiopoietin 1など)で制御されていることから、これらの分子の受容体の下流で共通に作用する内皮細胞内のシグナル伝達分子が見つかれば、この分子を阻害することで、複数の血管新生促進分子のシグナルを同時に阻害できる、新しい血管新生阻害療法開発が期待できる。そのための分子標的探索目的で、内皮細胞の行動を制御するシグナル伝達分子の解析を行った。その結果、 a.FGF-2による内皮細胞の運動には、接着斑でのFesを介したSrc活性化が重要であることがわかった。 b.HGF、 Angiopoietin 1による内皮細胞の毛細管形成にはSrcの活性化が必要であることを明らかにした。 従って、Src阻害は抗血管新生療法のよい分子標的になると考えられる。 ・低酸素と分子標的薬 慢性的に、低酸素状態にさらされた血管内皮細胞は、ひと癌の血管内皮細胞と似た環境にあると思われる。正常の酸素条件で培養した内皮細胞と比べると、Src阻害剤PP2の効果は低酸素状態で減弱し、その原因として、薬物の細胞外排出に関するABC transporterの一つであるmultidrug resistance-associated protein 1の過剰発現の関与が示唆され、キナーゼ阻害剤が効果を示さない場合にはABC transporter阻害剤との併用がオプションの一つとなると考えられた。
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Research Products
(6 results)