2005 Fiscal Year Annual Research Report
外尿道括約筋幹細胞の起源同定とその増殖分化制御機構の解明
Project/Area Number |
17591687
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
三股 浩光 大分大学, 医学部, 教授 (60219714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 文憲 大分大学, 医学部, 助教授 (30305049)
平田 裕二 大分大学, 医学部, 助手 (30295183)
松原 孝典 大分大学, 医学部, 助手 (40315338)
秦 聡孝 大分大学, 医学部, 助手 (60404381)
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Keywords | 外尿道括約筋 / 尿失禁 / 幹細胞 / シグナル伝達 / サイトカイン |
Research Abstract |
これまでにわれわれはヒト外尿道括約筋より幹細胞を分離培養する系を確立し、この外尿道括約筋幹細胞の多分化能とHGFおよびIGF-Iによる増殖促進を明らかにしてきた。さらにHGFはMAPK経路を、IGF-IはPI3K経路を主なシグナル伝達としており、外尿道括約筋幹細胞がHGFとIGF-Iを産生してオートクリン作用もあることを示した。今年度はさらに(1)IL6の作用、(2)HGFとIGF-Iの分化に及ぼす作用、および(3)起源同定について検討した。 (1)IL6の作用 SV40T抗原を遺伝子導入して長寿化したヒト外尿道括約筋幹細胞はIL6投与によってHGFおよびIGF-IのmRNA産生を濃度依存性に増加させ、IL6投与後15分で有意にSTAT3のリン酸化が亢進することを示した。IL6はHGFとIGF-Iのオートクリン作用を増強して、ヒト外尿道括約筋幹細胞の増殖を促進する可能性が示された。 (2)HGFとIGF-Iの分化に及ぼす作用 温度感受性SV40T抗原を遺伝子導入したヒト外尿道括約筋幹細胞を用いて、分化制御機構について検討した。この細胞系は分化培地で培養すると3〜7日でミオシン重鎖のmRNA発現が誘導されるが、HGFは有意にミオシン重鎖の発現を抑制するのに対し、IGF-Iはミオシン重鎖の発現を促進することを明らかにした。これらの作用の相違はHGFとIGF-Iのシグナル伝達経路に違いによるものと思われる。 (3)起源同定 外尿道括約筋の凍結切片を用いて抗NCAM(Neural Cell Adhesion Molecule)抗体と抗Pax-7抗体の二重染色を行い、共焦点レーザー顕微鏡にて観察した。筋細胞の外側に抗NCAM抗体で染色される骨格筋衛星細胞が観察され、この細胞は抗Pax-7抗体陽性細胞と完全に一致しており、somitic cell由来であることを証明できた。
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