2006 Fiscal Year Annual Research Report
ホルモン耐性前立腺癌に対するPPAR-γを標的にした癌治療の基礎研究
Project/Area Number |
17591692
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Research Institution | NAGOYA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
橋本 良博 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助手 (40244561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 真 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (40217774)
郡 健二郎 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (30122047)
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Keywords | 前立腺癌 / PRAR-γ / PRAR-γリガンド |
Research Abstract |
前立腺癌に対する内分泌療法の有用性は確立しているが、多くは治療中にホルモン不応性となり、一度ホルモン不応性となると有効な治療法はなく前立腺癌におけるホルモン耐性機構の解明が待たれている。核内受容体であるペルオキシソーム増殖活性化受容体peroxisomeproliferator-activatedreceptor-γ(PPAR-γ)は種々の癌で発現しており、そのリガンドの癌細胞増殖抑制効果が報告されている。 今回、PPAR-γの前立腺癌における発現とそのリガンドが前立腺癌の増殖やアンドロゲン受容体を介した転写に及ぼす影響について検討した。前立腺臨床検体を用いた実験では前立腺癌領域の47%でPPAR-γの特異的な発現が認められたが、正常領域や前立腺肥大領域には7%の発現しか認められなかった。前立腺癌細胞を用いた実験ではPPAR-γはアンドロゲン非依存性株(PC-3、DU145、LNCaP-HR)で高発現を呈し、アンドロゲン依存性株(LNCaP)では低発現であった。また、PPAR-γリガンド(Thiazolidinedion、Triglitazone、ProstaglandinJ2)により細胞増殖は抑制され、細胞周期のS期に集束した。また、Triglitazone投与により、アンドロゲン受容体を介したPSAプロモーターの転写活性は有意に抑制された。さらに、Triglitazone投与でアンドロゲン受容体の発現は変わらず、PSAの発現のみ低下した。 以上の結果は、PPAR-γが前立腺癌の増殖や転写に関与しており、ホルモン耐性獲得機構においても重要な一因子であることを示唆させる。今後、PPAR-γのホルモン耐性機構に及ぼすメカニズム、ホルモン耐性前立腺癌に対する治療への応用、同じホルモン依存性癌に対する内分泌療法抵抗性の早期診断や新しい治療法の確立に寄与するものと考える。
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