2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト腎移植後ウイルス腎症における遺伝子発現の解析に関する研究
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17591696
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Research Institution | Osaka City Univetsity |
Principal Investigator |
内田 潤次 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (40343412)
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Keywords | サイトメガロウイルス腎症 / cDNAマイクロアレイ / DNA chip / 腎移植 / 慢性移植腎症 |
Research Abstract |
免疫抑制剤の進歩により急性拒絶反応の頻度は著明に低下し、短期的な移植腎生着率は飛躍的に向上したが、免疫抑制剤の発達は過剰な免疫抑制状態を引き起こし、結果として、サイトメガロウイルスをはじめとするウイルス感染症の頻度が増加傾向である。移植腎長期に大きな影響を与える病態にchronic allograft nephropathy(CAN)があるが、サイトメガロウイルス感染症をはじめとしたウイルス感染症はCANの一因になっていると考えられる。サイトメガロウイルス感染症が移植腎に与える影響を分子生物学的に検討するために腎移植後1〜6ヶ月で施行した生検標本でサイトメガロウイルス感染症と診断された余剰分の凍結標本からRNAを抽出し、cDNAマイクロアレイ法により解析した。実際にはサイトメガロウイルス抗原血症陽性を認めた患者の標本とコントロール標本をOCT compoundで凍結させ、10μmで薄切し、70%エタノール固定した。採取した標本よりtotal RNAを抽出した後、RNA pico chipsを用いてその質と量を確認した。微量RNAをT7 RNA polymerases-mediated cRNA amplificationとadapter ligation-mediated PCRを組み合わせることによりngオーダのRNAを増幅、十分量のcRNAを得ることができた(TALPAT法)。得られたcRNAをビオチンラベルし、fragment後DNA chip(Human genome U 133 Plus 2.0 array : Gene数54675)にhybridizationし、Affymetrix Gene Tip systemで個々の遺伝子発現シグナルを検出した。データの解析はGene Springを用いた。Normalization後present or marginalでfilterをかけると16546遺伝子が検出された。サイトメガロウイルス感染により増加した遺伝子は108遺伝子あり、減少した遺伝子は61遺伝子であった。以上のようにサイトメガロウイルス感染症と診断された患者の移植後腎生検組織から特異的な遺伝子発現解析をGene tipを用いた網羅的解析により行うことを可能とした。
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[Journal Article] Molecular mechanisms and therapeutic strategies of chronic renal injury : the role of nuclear factor kappa B activation in the development of renal fibrosis.2006
Author(s)
Tamada S, Asai T, Kuwabara N, Iwai T, Uchida J, Teramoto K, Kaneda N, Yukimura T, Komiya T, Nakatani T, Miura K.
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Journal Title
J Pharmacol Sci. 100・1
Pages: 17-21