2005 Fiscal Year Annual Research Report
中枢無傷ならびに脊髄損傷における仙髄排尿中枢の情報処理機構
Project/Area Number |
17591703
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 光美 東京医科大学, 医学部, 助教授 (10170698)
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Keywords | 排尿 / 膀胱 / 外尿道括約筋 / Barrington核 / 仙髄 |
Research Abstract |
1.Barrington核と仙髄節前ニューロンの結合および制御様式。(1)膀胱を支配する仙随節前ニューロンを前根の逆行性電気刺激、伝導速度および記録部位(中間外側核)により同定した。Barrington核の単発電気刺激で節前ニューロンにEPSPが誘発された。このEPSPは単波形では観察されにくく、加算によって明瞭に検出された。またこのEPSPは連発刺激により促通された。(2)このEPSPは膀胱弛緩期の前半には小さく、弛緩期の後半および収縮期に著明に誘発された。これらの結果は、排尿収縮はBarrington核からの単シナプス性経路よりむしろ多シナプス性経路により制御されていることを示し、Barrington核は下行路の介在ニューロン群を賦活化することにより排尿収縮を起こすことを示唆した。またこれらの結果は、膀胱弛緩期にBarrington核を電気刺激しても膀胱が収縮しにくい理由を説明するものと考えられた。2.Barrington核と外尿道括約筋ニューロンの結合および制御様式。(1)Barrington核の電気刺激により、逆行性刺激で同定した外尿道括約筋運動ニューロンにIPSPが誘発された。単発刺激の効果は弱く、連発刺激でIPSPが著明に促通され、多シナプス性結合であることが示された。(2)仙髄中心灰白質の近傍、腹外側を連発で電気刺激すると、外尿道括約筋が弛緩した。(3)排尿収縮関連ニューロンは仙髄後灰白交連に見いだされた。仙髄後灰白交連ニューロンは排尿収縮および外尿道括約筋弛緩に先行して発火活動を減少させた。以上の結果は、Barrington核は膀胱節前ニューロンを多シナプス性に興奮させるとともに、これと協調的に仙髄後灰白交連ニューロンを介して外尿道括約筋運動ニューロンを抑制し、排尿を遂行させることを示唆した。
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