2005 Fiscal Year Annual Research Report
血液型不適合腎移植後にみとめられるACCOMMODATED抗体の解析
Project/Area Number |
17591705
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
石田 英樹 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60246543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田邉 一成 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (80188359)
宮本 直志 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50366332)
新村 浩明 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60318045)
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Keywords | 腎臓移植 / 免疫寛容 / Accommodation / 血液型不適合 |
Research Abstract |
今回の研究課題の目的は、昨今急激に増加してきた血液型を超えた腎臓移植、すなわち血液型不適合移植後に産生される抗血液型抗体の特徴を調べることである。通常、不適合移植の際には、移植前に障害となる抗体をさまざまな方法で除去しその後に腎臓を移植することによって、抗体による急性拒絶反応は回避することができ、ほぼ適合移植と同様の成績を上げている。レシピエント体内にはリンパ節などで産生される血液型抗体が移植をした後も産生されているが、これらの抗体が移植した腎臓の臓器を攻撃することはなく、このような免疫学的状態はAccommodationとよばれ、実際どうしてこのように免疫学的な寛容状態が成立しうるのかは判明していない。今回、われわれの実験では、移植をして成功した群と拒絶反応を起こして不成功に終わった群にわけその血清中に含まれる抗体の特徴をフローサイトメトリー法およびELISA法を駆使して調べた。 以下の業績中にすでに発表したように、拒絶反応を起こした患者群の血清中にはIgG抗体なかでもIgG1抗体サブタイプが主体であったのに対し、拒絶を起こさずに成功した患者群の血清中にはIgMおよびIgG2抗体が主体であった。またこれらの抗体を産生しているBリンパ球を現在フローサイトメトリーを使用して解析中である。 人間の免疫能は実に多彩であり、異なった血液型すなわち糖鎖を有する臓器を異なった血液型の人に移植するとさまざまな免疫反応を生じる。初期反応を起こしただけで免疫抑制剤の効果でおさまるうちは移植臓器は生着するが、初期反応が2次的なT細胞依存性の反応に移行してBリンパ球がCD40を介して活発化すると急激な抗体産生およびそれに伴う拒絶反応が起こり移植臓器は抗体関与型の拒絶反応をおこしたちまちのうちに移植腎廃絶にまでいたるようである。 このような体内の免疫能を抗体のサブタイプを調べそのときに有意にたっているリンパ球の種類を詳細に解析することによって免疫強化をすれば移植臓器の生着により一層貢献することが出来る。 平成18年度はより一層動物実験も交えて移植臓器を持った体内に存在する免疫能を解析したいと考えている。
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