2006 Fiscal Year Annual Research Report
多剤耐性淋菌をはじめとする薬剤耐性淋菌の分離状況と治療法の確立に関する研究
Project/Area Number |
17591707
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
田中 正利 福岡大学, 医学部, 教授 (30171797)
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Keywords | 淋菌 / 分離状況 / 薬剤耐性 / 併用療法 / キノロン / ペニシリン / セフェム / アジスロマイシン |
Research Abstract |
【目的】福岡市における2005年の各種薬剤耐性淋菌の分離状況を検討した。また、淋菌に対する経口抗菌薬の併用効果の有効性に関する基礎的検討を行った。【対象・方法】対象淋菌株は、2005年に福岡市で分離された345株であった。薬剤感受性測定は米国CLSI法に準じた寒天平板希釈法で行った。また、2002〜03年分離淋菌25株についてチェッカーボード法によりFIC indexを算出し、薬剤の併用効果を検討した。【結果・考察】(1)耐性淋菌分離状況:シプロフロキサシン(キノロン)耐性淋菌(MIC≧1μg/ml)の分離頻度は71%と極めて高い値を示した。ペニシリン耐性淋菌(MIC≧2μg/ml)、テトラサイクリン耐性淋菌(MIC≧2μg/ml)の分離頻度はそれぞれ21.7%、15.1%であった。また、セフィキシム耐性淋菌(MIC≧0.5μg/ml)、中等度耐性菌(MIC;0.12〜0.25μg/ml)の分離頻度はそれぞれ0.3%、20.6%であった。このようにキノロン耐性をはじめとする各種耐性淋菌の分離頻度は依然高いものの、昨年に比べやや低下した。今後も性感染症診断・治療ガイドラインを遵守して、有効な注射薬の単回療法を行うことが重要と考えられた。(2)併用効果:セフィキシム(CFIX)+アジスロマイン(AZM)の併用効果は、相乗が32%、部分相乗が44%、相加が20%、拮抗が4%と、相乗と部分相乗を合わせた頻度は76%であった。また、FIC indexの中央値は0.53であった。セフォテラム+AZMの併用効果は、相乗が12%、部分相乗が68%、相加が16%、拮抗が4%と、相乗と部分相乗を合わせた頻度は80%であった。また、FIC indexの中央値は0.63であった。アモキシシリン+AZMの併用効果は、相乗が4%、部分相乗が52%、相加が32%、拮抗が12%と、相乗と部分的相乗を合わせた頻度は56%であった。また、FIC indexの中央値は0.75であった。以上のように淋菌感染症に対するこれら2薬剤併用の有効性が示唆された。なかでもCFIX+AZM併用が他の2種類の併用より優れた併用効果を示した。
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