2007 Fiscal Year Annual Research Report
多剤耐性淋菌をはじめとする薬剤耐性淋菌の分離状況と治療法の確立に関する研究
Project/Area Number |
17591707
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
田中 正利 Fukuoka University, 医学部, 教授 (30171797)
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Keywords | 淋菌 / 薬剤感受性 / 多剤耐性 / キノロン耐性 / テトラサイクリン耐性 / 栄養要求型別 / proline要求型 |
Research Abstract |
【目的】近年我が国では淋菌のキノロン系薬をはじめとする各種薬剤に対する耐性化が大きな問題になっている。今回我々は,福岡市における各種薬剤耐性淋菌の分離状況,及び淋菌の栄養要求型と薬剤感受性の関係を検討した。【対象、方法】対象淋菌株は,2006年1〜12月までに福岡市で分離された143株であった。薬剤感受性測定は米国CLSI法に準じた寒天平板希釈法で行った。 また,2004年分離156株について栄養要求型別をCatlinが報告した方法に準じて行った。【結果】シプロフロキサシン(キノロン)耐性淋菌(MIC≧1μg/ml)の分離頻度は73.1%と極めて高い値を示した。また,キノロン中等度耐性淋菌(MIC;0.12〜0.5μg/ml)の分離頻度は8.4%であり,両者をあわせると81.5%がキノロン耐性または中等度耐性を示した。テトラサイクリン耐性淋菌(MIC≧2μg/ml)の分離頻度は38.5%とキノロン耐性淋菌に次いで高い値を示した。ペニシリン耐性淋菌(MIC≧2μg/ml)の分離頻度は17.5%であった。なお,PPNGは1株も分離されなかった。セフィキシム耐性淋菌(MlC≧0.5μg/ml)の分離頻度は0.7%と低かったものの,セフィキシム中等度耐性淋菌(MIC;0.12〜0.25μg/ml)の分離頻度は16.1%と比較的高い値を示した。なお,セフトリアキソン,セフォジジム,及びスペクチノマイシンに対する淋菌の感受性は良好であった。栄養要求型別は,proline要求型が65.3%で最も多く,以下prototrophic17.9%,proline-arginine要求型10.9%,その他3.2%などであった。Proline要求型,proline-arginine要求型,prototrophicのシプロフロキサシンに対するMIC50値はそれぞれ,4μg/ml,8μg/ml,0.12μg/mlであった。 【考察】淋菌感染症に対しては日本性感染症学会が推奨するセフトリアキソン,セフォジジム,またはスペクチノマイシンの単回投与療法を行うことが重要である。栄養要求型別ではproline要求型が最も多く,キノロン耐性との関係が示唆された。
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