2005 Fiscal Year Annual Research Report
婦人科癌のHeparanase発現と血管新生・転移能、さらに転移抑制療法の開発
Project/Area Number |
17591723
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
青木 陽一 新潟大学, 医歯学系, 講師 (40231774)
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Keywords | Heparanase / 子宮体癌 / 婦人科癌 / 血管新生 / 転移 / 予後因子 / 転移抑制 |
Research Abstract |
Heparanase(Hpa)は細胞表面、細胞外マトリックスにおいて重要な構造の一つであるHeparan sulfate proteoglycanの分解酵素である。担癌マウス、担癌患者の血中、尿中においては高いHpa活性がみとめられ、また細胞株においても転移能とHpa活性との相関が報告された。最近ヒトHpa遺伝子がクローニングされ、ヒト転移好発細胞株において高いHpa活性の発現およびHpaが血管新生促進増殖因子を刺激し、腫瘍血管の新生を促進していることが報告され、腫瘍細胞の転移・血管新生、さらに転移抑制療法との関連において注目されている。 平成17年度の研究経過について述べる。 1.子宮体癌組織20例(1期11例、II期1例、III期8例)を材料としRNAを抽出し、RT-PCR法によりHpaおよびb-actin mRNAを増幅 2.PCR産物はアガロース電気泳動後、 FAS-II UV image analyzer, Quantity One Ver.3.0により定量化し、両者の比を臨床病理学的因子と比較検討。 3.RT-PCRにより20例中16例においてHpaの発現が検出された。 4.臨床病理学的因子との比較では、 1)臨床進行期IIIc期の4例全例でHpaの発現を認め、平均発現比0.616とIa,Ic期の平均発現比0.00,0.115と有意差(p=0.0351,0.0282)を認めた。 2)リンパ節転移3例においても平均発現比は0.696で、非転移例の0.282と有意差(p=0.0197)を認めた。 3)組織分化度、筋層浸潤度、脈管侵襲、頚部浸潤、および腹腔内洗浄細胞診の各因子において有意差はないものの、予後不良群においていづれも平均発現比が高値を示した。 子宮体癌においてHpaの発現強度は、病巣進展の推定、さらには予後因子として有用な指標となりうると考えられる。
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