2006 Fiscal Year Annual Research Report
婦人科癌のHeparanase発現と血管新生・転移能、さらに転移抑制療法の開発
Project/Area Number |
17591723
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
青木 陽一 琉球大学, 医学部, 教授 (40231774)
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Keywords | Heparanase / RT-PCR / 抗Heparanase抗体 / 子宮体癌 / 血管新生 / 免疫染色 |
Research Abstract |
Heparanase(Hpa)は細胞表面、細胞外マトリックスにおいて重要な構造の一つであるHeparan sulfate proteoglycanの分解酵素である。担癌マウス、担癌患者の血中、尿中においては高いHpa活性がみとめられ、また細胞株においても転移能とHpa活性との相関が報告された。最近ヒトHpa遺伝子がクローニングされ、ヒト転移好発細胞株において高いHpa活性の発現およびHpaが血管新生促進増殖因子を刺激し、腫瘍血管の新生を促進していることが報告され、腫瘍細胞の転移.血管新生、さらに転移抑制療法との関連において注目されている。 まず、子宮体癌組織50例を材料としRNAを抽出し、RT-PCR法によりHpaおよびb-actin mRNAを増幅し、FAS-II UV image analyzer, Quantity One Ver.3.0により定量化し、両者の比を臨床病理学的因子と比較検討した。20例中16例においてHpaの発現が検出された。臨床病理学的因子との比較では、1)臨床進行期IIIc期の全例でHpaの発現を認め、平均発現比0.616とIa, Ic期の平均発現比0.00,0.115と有意差(p=0.0351, 0.0282)を認めた。2)リンパ節転移例においても平均発現比は0.696で、非転移例の0.282と有意差(p=0.0197)を認めた。3)組織分化度、筋層浸潤度、脈管侵襲、頚部浸潤、および腹腔内洗浄細胞診の各因子において有意差はないものの、予後不良群においていづれも平均発現比が高値を示した。 次いで、Hpapeptideを抗原として、ウサギに免疫し抗Hpa抗体を作成した。この抗体を用いて免疫染色を行い、子宮体癌組織におけるHpaの陽性率と局在を検討した。64%の子宮体癌症例においてHpa陽性が免疫組織学的に確認できた。この結果と臨床病理学的因子を比較検討すると、臨床進行期、リンパ節、組織分化度、筋層浸潤度、脈管侵襲、頚部浸潤、および腹腔内洗浄細胞診の各因子において有意差はないものの、予後不良群においていづれもHpa染色陽性率が高率であった。 子宮体癌においてHpaの発現は、病巣進展の推定、さらには予後因子として有用な指標となりうると考えられる。
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