2006 Fiscal Year Annual Research Report
組織特異的幹細胞の移植による胎盤の形成ならびに機能分化機構の解析
Project/Area Number |
17591728
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 彩子 京都大学, 医学研究科, 助手 (90378696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 宏晃 京都大学, 医学研究科, 講師 (70263085)
由良 茂夫 京都大学, 医学研究科, 助手 (60335289)
佐川 典正 三重大学, 医学系研究科, 教授 (00162321)
鈴木 義久 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30243025)
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Keywords | 妊娠 / 胎盤 / 胎児 / 子宮内発育遅延 / グルココルチコイド / 分岐鎖アミノ酸 |
Research Abstract |
胎盤は母体と児の物質交換、ガス交換の場として胎児の発育および成熟に必須の役割を果たしている。胎盤の低形成や機能不全は子宮内発育遅延(IUGR)、胎児低酸素症を引き起こし、予後不良な母児転帰の主要な原因となるが、いまだ有効な治療法が確立されていない。本年度の研究ではまず、胎盤の形成や機能の調節に関与する分子として、グルココルチコイド代謝酵素11beta-Hydroxysteroid dehydrogenase type2(11betaHSD2)に注目し、胎盤組織における発現を検証した。In situ hybridization法により、11betaHSD2がマウス胎盤の絨毛上皮細胞を中心に発現していることが明らかとなった。また、母獣摂餌制限によるマウスIUGRモデルにおいては11betaHSD2の胎盤における発現が増加し、11betaHSD2が母体ストレスによるグルココルチコイドの曝露から胎児を保護していると考えられた。また、摂餌制限した母獣に高蛋白食を給餌することにより胎盤における11betaHSD2の発現は増加することが明らかとなった。そこで、胎盤の機能活性化に結びつく新しい治療法確立のための基礎的検討として高蛋白餌を用いた。すなわち母獣摂餌制限による胎仔発育遅延モデルマウスにおいて、母獣に高蛋白餌を給餌したところ、胎仔発育遅延を軽減すること、その際に母獣血中および胎仔肝臓の分岐鎖アミノ酸(BCAA)濃度が増加していることが明らかとなった。そこで次に母獣にBCAA付加餌を給餌したところ、これによっても胎児発育遅延を軽減することが明らかとなった(論文投稿中)。そのため、BCAAが胎児発育を促進する機能的分子として作用する可能性が示唆された。以上の検討が、IUGRを軽減するための方策の開発の端緒となることが期待される。
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