2006 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内発育遅延胎児のエネルギー代謝における脂肪細胞由来因子の意義に関する研究
Project/Area Number |
17591730
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
由良 茂夫 京都大学, 医学研究科, 助手 (60335289)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐川 典正 三重大学, 医学系研究科, 教授 (00162321)
伊東 宏晃 京都大学, 医学研究科, 講師 (70263085)
益崎 裕章 京都大学, 医学研究科, 助手 (00291899)
依藤 亨 京都大学, 医学研究科, 講師 (60220779)
|
Keywords | IUGR / 摂餌制限 / 脂質代謝障害 / 栄養 / レプチン |
Research Abstract |
胎児の子宮内発育遅延(IUGR)は胎児低酸素症のハイリスク群であると同時に、出生後も罹患率、死亡率が高く、慎重な周産期管理、新生児管理を必要とする主要な病態のひとつである。また最近、IUGR児では、出生後良好な発育をし、いわゆるcatch-upした児においても、成人期に高血圧、心臓冠動脈疾患、糖尿病、高脂血症など各種生活習慣病が高率に発症することが報告されており、現代の少子化社会においては成長後の生活習慣病発症予防という点からも、IUGR児における代謝異常の病態を解明することが重要となっている。本研究では、IUGR胎児のエネルギー代謝の異常について明らかにすることを目的とし、マウスモデルにおける子宮内発育遅延胎仔の解析を行った。昨年度までに、母獣摂餌制限による胎生期低栄養マウスでは成長後に肥満や耐糖能障害を認めることを明らかにしてきたが、その背景として想定される肝臓での脂質代謝障害について検討すると、肝重量(体重量比で換算)が普通食飼育で対照群と比較して有意に高値を示し、重量あたりのリン脂質含量が低値、中性脂肪は高値の傾向を示すなど、脂肪肝の状態を呈していた。また脂肪組織におけるPPARα、PPARγ、SRC1等の転写調節因子の発現異常が認められた。一方、胎生期低栄養マウスの肥満や耐糖能障害の発生には新生仔期のレプチンサージの早期化が関与していることをすでに示しているが、その時期が変化することにより成長後の肥満の発症が制御されていることが明らかとなった。さらに胎生期低栄養マウスの心血管病変の発生には心臓におけるレニン・アンギオテンシン系の活性化が関与している可能性が示唆された。以上のように、胎生期低栄養で引き起こされるIUGR胎仔における代謝異常の発生機序の一端が明らかとなった。
|
Research Products
(7 results)