2006 Fiscal Year Annual Research Report
子宮頚癌の発生、浸潤・転移に関与する3番染色体長腕上の癌遺伝子の特定および応用
Project/Area Number |
17591736
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉野 潔 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90362730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 隆之 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90283754)
藤田 征巳 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60303963)
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Keywords | 子宮頸癌 / 3番染色 / TSC403 / LAMP3 / 転移 / 浸潤 |
Research Abstract |
染色体3番長腕上に存在する候補癌遺伝子の子宮頚癌の発生、浸潤、転移への寄与に関する解析を行った。PIK3CA(3q26),TERC(3q26),LAMP3(3q26),eIF-5A2(3q26),p63(3q28)の5つの遺伝子が染色体3番長腕上に存在する候補癌遺伝子として知られているが、そのうちLAMP3およびPIK3CAについての解析がすすみ以下のように成果が得られた。 LAMP3発現ベクターを安定導入した子宮頚癌細胞株を樹立し、それを利用したin vivo invasion assayの結果からLMP3の高発現は子宮頚癌細胞株に高い浸潤能を与えることが明らかとなった。この結果はScid mouseを使ったin vivo metastasis assayにおいてLAMP3高発現細胞株を皮下注入したマウスに有意に遠隔転移およびリンパ節転移が多く見られた結果と同調している。定量的RT-PCRにより正常子宮頸部および子宮頚部異型上皮においてはLAMP3 mRNAはほとんど発現されていないが、子宮頚癌組織において高発現していることが明らかとなった。この結果は臨床検体を用いた免疫染色でも確認された。また、子宮頚癌進行期I期およびII期の患者をLAMP3 mRNAの発現レベルの程度で2群に分けて予後をKaplan-Meier法で解析を行ったところ、LAMP3 mRNAの発現の程度が高い群は有意に予後が悪く、LAMP3の発現レベルが予後因子となり得る可能性が示唆された。我々は以上の結果を国際雑誌で公表した。 手術で摘出された子宮頚癌組織よりDNAを抽出しPIK3CA遺伝子のExon9とExon20における遺伝子変異のSequence解析を行った。その結果30例中5例に点突然変異が認められた。その変異形式は他臓器の癌でも認められており、In Vitroの実験系で発癌に関与する変異であることが確認されている。子宮頚癌においてもPIK3CA遺伝子の遺伝子変異は癌の発生、あるいは進展に関与すると考えられた。
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