2007 Fiscal Year Annual Research Report
生物学的特性に基づくE1A遺伝子導入を用いた上皮性卵巣癌抗癌剤耐性克服の試み
Project/Area Number |
17591737
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
板持 広明 Tottori University, 医学部附属病院, 講師 (20314601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紀川 純三 鳥取大学, 医学部附属病院, 教授 (00177784)
寺川 直樹 鳥取大学, 医学部, 教授 (90163906)
島田 宗昭 鳥取大学, 医学部, 助教 (40362892)
大石 徹郎 鳥取大学, 医学部, 助教 (80359877)
佐藤 慎也 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (10423261)
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Keywords | 癌 / 遺伝子 / 薬剤反応性 |
Research Abstract |
近年増加傾向にある卵巣明細胞腺癌(CCC)はHER-2が過剰発現しており,その化学療法低感受性との関連が示唆されている.またCCCはp53変異の頻度が低いことが知られている.一方,アデノウイルス5型E1A蛋白は,HER-2発現を抑制するとともに,p53を安定化し殺細胞作用を示す.また,癌性腹膜炎は遺伝子治療の至適標的と考えられる.本研究では,CCCに対するアデノウイルスE1A遺伝子治療の有効性を明らかにすることを目的とした. CCC由来細胞株4株(RMG-I.SMOV-2.0VTOKO.OVSAYO)を用い.アデノウイルス5型E1A発現ベクター(Ad.E1A(+))のCCCに対する殺細胞効果をMTT assayおよびトリパンブルー排出試験で検討するとともに,アポトーシスをAnnexin V染色およびDNA ladderingで検索した.E1A,p53,Bax,Bcl-2およびCaspase9蛋白発現をウエスタンブロット法にて検索した.次に,RMG-I細胞(1x107個)をSCIDマウス腹腔内に注入してCCC癌性腹膜炎モデルを作成し.移植4日目からAd.E1A(+)を腹腔内投与した.累積生存率をKaplan-Meier法により算出し治療効果を検討するとともに,E1Aおよびp53蛋白発現を免疫組織化学で検索した. Ad.E1A(+)はアポトーシスを誘導し細胞増殖を著明に抑制した.一方,E1A遺伝子導入後にp53,Baxおよび活性化Caspase9蛋白発現が増加した.p53 siRNAはE1A遺伝子導入によるアポトーシスならびに上記蛋白の発現を抑制した.癌性腹膜炎モデルにおいて,腫瘍組織内E1Aおよびp53蛋白発現はAd.E1A(+)投与でのみ観察された.Ad.E1A(+)投与群の生存率は無投与対照群およびコントロールウイルス投与群に比して有意に高かった. 以上の成績から,卵巣明細胞腺癌に対するE1A遺伝子治療の有効性が示されるとともに,その作用機序にはp53依存性アポトーシスが関与していることが示唆された.
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Research Products
(14 results)