2006 Fiscal Year Annual Research Report
CTL誘導によるキャリアー細胞を用いた卵巣癌特異的細胞性免疫性遺伝子治療の試み
Project/Area Number |
17591745
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
濱田 雄行 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (90172973)
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Keywords | 卵巣癌 / オンコリティックアデノウイルス / IAI.3B / キャリアー細胞 / アテロコラーゲン / 事前免疫 / E1A / プロモーター |
Research Abstract |
キャリアー細胞による遺伝子治療には、強力な抗腫瘍効果を示すオンコリティックアデノウイルスを作成することが重要である。オンコリティックアデノウイルス作成には、E1Aプロモーターと腫瘍特異的プロモーターとを置換する方法がとられているが、この際に置換するプロモーター領域が問題となる。今回、nt552、nt552-491、nt552-448、nt552-404の各部位を欠失して、同部位に腫瘍特異的プロモーターを導入したところ、nt552、nt552-491、nt552-448において抗腫瘍活性はほぼ類似していたが、nt552-404において活性が10分の一に低下した。これは、nt448-404の間にアデノウイルスの増幅に重要な領域があるものと思われた。アデノウイルスによる治療にはサイトカインサージによるショック死が問題とされているが、0.2%アテロコラーゲン併用によりキャリアー細胞によるヌードマウス副作用死が4分の一に減少可能となった。A549は、癌細胞であるため、人に対する腫瘍形成能を消失させる必要があり、ヌードマウス、scidマウスにおける検討で、400Gy照射が至適照射量であることが明らかとなった。卵巣癌は、早期に腹腔内に播種性転移を示すことから、こうした病態に対する治療法を確立することが重要である。キャリアー細胞としてA549を用いると、20%のCRが得られたが、他の293およびSW626ではまったくCRは得られなかった。また、アデノウイルスの感染条件はヌードマウス皮下腫瘍モデルに対しては200MOI、24時間感染、腹腔内播種性モデルに対しては、5MOI、24時間感染が最も良好な抗腫瘍効果を示した。腹腔内投与では、アデノウイルスによる腹膜刺激症状がdose limiting factorとなることが示唆された。OVHM卵巣癌細胞を用いたsyngeneic mouse modelにおいて、UVで不活化したアデノウイルスを皮下注射した後、3週間後に5-10mmの皮下腫瘍に対し、オンコリティックアデノウイルスAdE3-IAI.3Bを感染したA549キャリアー細胞を投与したところ50%にCRが認められたが、UVで事前免疫していないマウスにおいては、抗腫瘍効果は認められなかった。さらに、adenovirus-GM-CSFを10MOIキャリアー細胞に共感染して事前免疫後投与したところ100%のマウスにおいてCRとなった。こうしたCRとなったマウスにOVHMをさらに投与したところ、腫瘍拒絶が認められ、CTL assayにおいてOVHMに対する腫瘍免疫が誘導されていることが明らかとなった。
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