2005 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌に対するヒトモノクローナル抗体を用いた分子標的療法の確立
Project/Area Number |
17591759
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 直 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (90246356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 大輔 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30167788)
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Keywords | 卵巣癌 / 分子標的治療 / CA125 / ヒトモノクローナル抗体 |
Research Abstract |
卵巣癌に対して診断上最も頻繁に用いられている腫瘍マーカーであるCA125は、1981年にBastらによって漿液性腺癌由来の培養細胞を免疫原として作成されたモノクローナル抗体を用いて測定される抗原である。CA125は糖鎖とコア蛋白との結合部あるいはコア蛋白の部分を認識すると考えられるコア蛋白関連腫瘍マーカーに分類され、CA125の他にCA602やCA130などが属し、これら腫瘍マーカーが認識する抗原は同一蛋白上の異なる部位であることが明らかになっている。このCA602は1991年に研究代表者が所属する研究グループによって独自に樹立した明細胞腺癌培養細胞を免疫原として得られた2つのモノクローナル抗体によって検出される抗原である(S.Nozawa et al.:Japan Journal of Cancer Research 82,1991)。卵巣癌全体の陽性率はCA125、CA602それぞれ77%、76%と高値を示し、コア蛋白関連腫瘍マーカーは卵巣癌において最も有用なマーカーであると考えられる。本研究では、科学研究費の交付を希望する期間内に特にCA602が認識する抗原、すなわちCA125分子を標的として、ヒトモノクローナル抗体産生マウス・KMマウスを用いて卵巣癌に高い反応性を有するhMabを作製し、卵巣癌に対する新たな治療法を開発することを目的とした。 1.CA125分子を認識するヒトモノクローナル抗体の選別:卵巣明細胞腺癌培養細胞であるRMG-IをKMマウスに免疫し、得られたハイブリドーマクローンとCA602の認識する精製抗原に対して602抗体とサンドイッチアッセイを組むことのできたHMOCC-2抗体を得ることができた。選別後、限界希釈法によりヒトモノクローナル抗体・HMOCC-2(IgM)を選別した。 2.CA125分子認識に関する検討:HMOCC-2はELISAの結果、602-1抗体、602-6抗体あるいはM11抗体とそれぞれサンドイッチアッセイを組むことが可能であった。さらに、BIAcoreシステムを用いて確認実験を行った結果、HMOCC-2がCA125分子を認識し、かつ602-1抗体、602-6抗体あるいはM11抗体とともにCA125分子をサンドイッチで認識できる事実が確認された。 以上より、CA125分子を認識する世界初のヒトモノクローナル抗体・HMOCC-2を得ることができ、その認識部位はC125分子の認識部位と同様である可能性が示唆された。
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