2006 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌に対するヒトモノクローナル抗体を用いた分子標的療法の確立
Project/Area Number |
17591759
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 直 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (90246356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 大輔 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30167788)
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Keywords | 卵巣癌 / 分子標的治療 / CA125 / ヒトモノクローナル抗体 |
Research Abstract |
卵巣癌は婦人科癌の中でも最も予後が不良な癌の一つであるが、特に表層上皮性卵巣癌に対する化学療法の進歩はCDDPの出現以来めざましいものがあり、初回治療時の奏功率や一時的な寛解率などは著しい向上が認められ抗癌剤による薬物療法は文字通り新世紀の幕を開け新たな段階に入りつつある。また、近年のTaxan系あるいはSN38などの新規抗癌剤の開発、臨床応用など卵巣癌の長期予後改善のための努力が行われているものの我が国においてもその死亡率は増加している。さらに発生頻度も増加している昨今の傾向を考慮すると、卵巣癌は早期診断法や新しい治療法の開発などさらなる予後改善の努力を有する婦人科癌である。現在、卵巣癌に対して診断上最も頻繁に用いられている腫瘍マーカーであるCA125は、1981年にBastらによって漿液性腺癌由来の培養細胞を免疫原として作成されたモノクローナル抗体を用いて測定される抗原である。CA125は糖鎖とコア蛋白との結合部あるいはコア蛋白の部分を認識すると考えられるコア蛋白関連腫瘍マーカーに分類され、CA125の他にCA602やCA130が属し、これら腫瘍マーカーが認識する抗原は同一蛋白上の異なる部位であることが明らかになっている。このCA602は1991年に研究代表者が所属する研究グループによって独自に樹立した明細胞腺癌培養細胞を免疫原として得られた2つのモノクローナル抗体によって検出される抗原である(S.Nozawa et al.:Japan Journal of Cancer Research 82,1991)。卵巣癌全体の陽性率はCA125、CA602それぞれ77%、76%と高値を示し、コア蛋白関連腫瘍マーカーは卵巣癌において最も有用なマーカーであると考えられる。本研究では、CA602が認識する抗原、すなわちCA125分子を標的として、KMマウスを用いて卵巣癌に高い反応性を有するヒトモノクローナル抗体であるHMOCC-2の作製に成功した。ELISA法とBIAcoreを用いてHMOCC-2の認識抗原を検討した結果、OC125 like抗体であることが明らかになった。
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