2007 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣機能におけるG-CSF、IL-6などサイトカインの作用解明と臨床応用について
Project/Area Number |
17591762
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
牧野田 知 Kanazawa Medical University, 医学部, 教授 (80165688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早稲田 智夫 金沢医科大学, 医学部, 助教 (40367488)
富澤 英樹 金沢医科大学, 医学部, 助教 (40319059)
藤井 亮太 金沢医科大学, 医学部, 講師 (30298351)
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Keywords | 卵巣機能 / 黄体退行 / サイトカイン / G-CSF / IL-6 / Real-time quantitative RT-PCR / 排卵誘発 / 臨床試験 |
Research Abstract |
平成17年度の研究で各種サイトカインのうちG-CSFのみが排卵直前に有意に増加するなど、卵巣周期上明らかな変動を示したので、平成18年度以降は「G-CSFの排卵誘発補助薬としての可能性に関する臨床試験」に研究の重点を移した。 平成17年度に作成した臨床試験プロトコールに従い、本学ならびに関連不妊治療施設において排卵障害のうち卵胞壁破綻機構の障害が主因であると考えられる黄体化未破裂卵胞(Luteineized Unruptured Follicle: LUF)患者を対象としてインフォームド・コンセントを得た後、以下の臨床試験を実施した。 1)Clomiphene-hCGによる排卵誘発患者でLUFを確認した周期の次の周期に同一の排卵誘発を行い、hCG投与日の1〜2日前にG-CSF 100μgを皮下投与した。 2)投与2〜5日後に経腟超音波検査での卵胞の消失の有無で確実に排卵が行われたか、もしくはLUFであったかを確認した。 その結果、2006年のQublanらの報告によると78.6%もの再発率を認めるといわれるLUFが、本対象症例では88.9%でLUFとはならず、排卵を認めた。対象患者のG-CSF投与周期以前の排卵率は53.5%であり(p<0.01)、G-CSFによるLUF治療効果が確認された。 これらの結果によって、G-CSFを既往排卵誘発薬に加えて投与することにより、LUF患者の治療に有用であることが明らかにされた。少子化対策のひとつである不妊症治療の分野で高額な生殖補助技術(ART)を用いることなく、より安価な方法で妊娠を成功に導く方法を確立しつつある。
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