Research Abstract |
(1)BLySによるIL-4誘導Igクラススイッチの誘導,(2)Igクラススイッチに重要な働きをしているActivation-induced cytidine deaminase (AID)の発現誘導,(3)BLySによる細胞内シグナル伝達について検討した。ヒトSμとS・の間にGFPを逆方向に存在させ,クラススイッチが起こるとGFPが発現するベクターをヒトB細胞株Ramos2G6にエレクトロポレーションにて遺伝子導入した。Geneticinを用いてセレクションし,細胞をRPMI1640で培養した。遺伝子導入されたヒトB細胞株Ramos2G6をIL-4及びBLySで刺激した。4日後に,フローサイトメトリーにてGFP陽性細胞の数を定量比較した。末梢血からヒトB細胞を単離し,SB203580,PD98059,SP600125で前処置し,IL-4及びBLySで刺激した。刺激4日後にRNAを採取し,switch circle transcriptsであるI・-Cμの発現をRT-PCRによりそれぞれ検討した。ヒトB細胞を単離し,SB203580,PD98059,SP600125で前処置し,IL-4及びBLySで刺激した。刺激2日後にRNAを採取し,AIDの発現をRT-PCRにより観察した。 IL-4誘導Igクラススイッチ定量が可能であるGFP発現ベクターを用いた実験で,BLySが濃度依存性にIL-4誘導Igクラススイッチを起こし,p38 mitogen-activated protein kinase (p38MAPK)シグナルの阻害剤であるSB203580で濃度依存性に抑制された。ヒトB細胞において,IL-4存在下にBLySはAIDの発現誘導とIgEクラススイッチが観察された。SB203580でIL-4とBLySによるIgEクラススイッチが強く抑制された。BLySはヒトB細胞においてp38 MAPK及びc-Jun N-terminal kinase (JNK)のリン酸化を誘導した。 IL-4存在下にBLySはCD40非依存性にAIDの発現誘導とIgEクラススイッチが観察されたことから,シェーグレン症候群,SLE,リウマチ性関節炎などの自己免疫疾患以外にも,アレルギー性鼻炎や喘息などのアレルギー疾患においても重要な働きをしていることが示唆された。BLySは,NF・Bを介してB細胞に対する強力な作用を持つことが知られているが,その他の細胞内シグナルに関しては報告がない。我々は,ヒトB細胞においてBlySによりp38 MAPK及びJNKが活性化し,p38 MAPKがIL-4とBlySによるIgEクラススイッチに深く関与していることを証明した。
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