2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17591788
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀井 新 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30294060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北原 糺 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30343255)
三代 康雄 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00263260)
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Keywords | 前庭代償 / microarray / 遺伝子 / カルシウム |
Research Abstract |
一側内耳破壊後の眼運動および体平衡の障害は日数とともに回復し、前庭代償と呼ばれている。このメカニズムには障害側の中枢前庭神経核の電気活動の回復が重要であることが分かっているが、その分子生物学的な背景については未だ不明である。 本研究では一側内耳破壊6時間後に左右の前庭神経核で発現の異なる遺伝子をmicroarray法を用いて検討した。動物はWistar系雄ラットを用い、一側内耳破壊6時間後に断頭し左右の前庭神経核を実態顕微鏡下に別々に摘出した。摘出組織からtotal RNAを抽出し、CodeLink microarrayを用いて左右の前庭神経核で発現の異なる遺伝子をピックアップした。その結果、破壊側で発現の増加している遺伝子を88個、非破壊側で増加している遺伝子を130個同定した。これらの遺伝子のうち任意の3つの発現の左右差をreal-time PCR法を用いて検討したところ、発現の左右差を追試できた。以上のことから、microarrayでピックアップした遺伝子群の中に前庭代償に関与する遺伝子が含まれているものと考えられた。 前庭代償をカルシウム拮抗薬が促進させるとの報告があることから、今回ピックアップされた遺伝子群の中でも特にカルシウムイオンに関連する遺伝子に注目しその発現の時間経過による変化の詳細をreal-time PCR法を用いて検討した。内耳破壊後、6、24、48時間、2週間後に上記と同様に前庭神経核を取り出しtotal RNAを抽出し逆転写反応後real-time PCR法を用いて発現の変化を検討した。その結果、Ca channel遺伝子は破壊側前庭神経核で内耳破壊後6時間で一過性に発現増加を認めた。Ca pump遺伝子は非破壊側前庭神経核で内耳破壊後6時間から2週間にかけて持続的な発現増加を認めた。これらの遺伝子発現の変化が蛋白レベルの変化やひいては機能発現まで影響しているかどうかは今後の検討が必要ではあるが、行動薬理実験の結果と合わせて考えると本実験はカルシウム関連遺伝子が前庭代償の発現に深く関与する可能性を示唆するものである。
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