2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17591791
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
羽藤 直人 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (60284410)
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Keywords | ベル麻痺 / 顔面神経麻痺 / HSV-1 / NO / iNOS / エダラボン |
Research Abstract |
一酸化窒素(以下NO)は循環器系の調節や神経系の情報伝達のメディエータとして働くだけでなく、感染や炎症の過程にも関与することが知られている。特に感染や炎症時に発現する誘導型NO合成酵素(以下iNOS)による多量のNO産生は、種々の酸化窒素化合物を介して細胞を障害することが知られているが、HSV-1による顔面神経麻痺発現に対する影響は不明である。本研究では、HSV-1初感染顔面神経麻痺におけるNOの関与を検討する目的で、ベル麻痺のモデル動物であるHSV-1初感染顔面神経麻痺マウスにおいて、顔面神経内NOの定量、顔面神経内でのiNOSの免疫組織学的観察、抗酸化剤であるedaraboneの投与効果について検討した。その結果、麻痺マウスの側頭骨内顔面神経では、麻痺7日目では左(非麻痺)側NO量に対する右(麻痺)側NO量の比が増大していた。また、組織学的観察麻痺発現中マウスの右(患)側の顔面神経膝神経節部でiNOSが発現していた。一方、左(健)側の同部位にはiNOS発現は観察されなかった。さらに、edarabone 10mg/kg投与の群では、1mg/kg投与、PBS投与の群に比較して麻痺発現が抑制される傾向にあった。このように、ウイルス性神経炎に引き続くNOの増加、iNOSの発現が観察され、またedaraboneの投与で顔面神経麻痺発現が抑えられる傾向にあった結果から、NOはHSV-1による顔面神経の障害、特に脱髄に関与し、麻痺発現の一因であると考えられた。また、edaraboneは臨床使用可能であり、ベル麻痺の新たな治療法となりうることが示唆された。
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Research Products
(2 results)