2006 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部腫瘍におけるSCC抗原の発現の分子メカニズムに関する研究
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17591793
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中島 寅彦 九州大学, 大学病院, 講師 (00284505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 浩次 九州大学, 大学病院, 助手 (50325445)
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Keywords | SCC抗原 / 頭頸部癌 |
Research Abstract |
SCC抗原は正常上皮にも発現し、血清SCC抗原値は気管支喘息、肺炎などの良性疾患でも上昇することが知られているが、SCCA1/SCCA2の発現誘導の分子機序に関わる研究はほとんどない。われわれは頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)患者の血清SCC抗原上昇は癌細胞自体でなく周囲のTリンパ球のSCCA1発現が関与していることを報告してきた。Tリンパ球をTNFαにて刺激するとSCCA1の発現が誘導されることから腫瘍細胞由来のサイトカインがSCC抗原の発現誘導に関わっていることが示唆される。しかしながら頭頸部癌細胞において、SCCA1のプロモーターに作用する転写因子の同定はできておらず、SCC抗原発現の分子メカニズムの解明にはいたらなかった。転写レベルでの発現調節が関わっていると予測され、継続した研究が必要である。 SCC抗原を分子標的とした頭頸部癌の治療の可能性についての検討に関しては、HNSCC由来の培養細胞にSCCA1 cDNAを形質導入し、in vitro (matrigel)およびin vivo(マウスの顎骨浸潤モデルを用いた解析)における癌細胞浸潤能の低下を認めた(Head and Neck 2006)。しかしながら、SCC抗原発現に関わる転写因子は同定できず、その分子を標的とする薬剤、あるいは分子そのものを用いた分子標的治療な可能性については今後の検討を要する。 鼻副鼻腔乳頭腫組織におけるSCC抗原過剰発現の分子メカニズム解析に関しては培養系の確立が進行中である。
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