2005 Fiscal Year Annual Research Report
血中ラミニンγ2鎖濃度測定による頭頚部癌の浸潤・転移能の診断
Project/Area Number |
17591794
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
倉富 勇一郎 佐賀大学, 医学部, 助教授 (30225247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 慎太郎 佐賀大学, 医学部, 助手 (50304910)
門司 幹男 佐賀大学, 医学部, 助手 (90380782)
木寺 一希 佐賀大学, 医学部, 助手 (20343337)
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Keywords | ラミニンγ2鎖 / 頭頸部癌 / 腫瘍マーカー / 浸潤 / 転移 |
Research Abstract |
佐賀大学医学部付属病院耳鼻咽喉科に入院した頭頸部癌患者93症例の末梢血中のラミニンγ2鎖濃度を免疫蛍光法により測定し、以下の結果が得られた。 1)濃度の最小値は12.7ng/ml、最大値は323.7ng/ml、平均値は49.5ng/mlであった。 2)濃度50ng/ml未満の症例が66例と71%を占めた。 3)濃度50〜100ng/mlが22例(24%)で、5例(5%)では100ng/ml以上の著明な高値を示した。 4)濃度50ng/ml以上であった27例のうち19例(70%)がstageIVの進行癌であった。 5)濃度50ng/ml未満の症例では治療による濃度変化はほとんどみられなかった。 6)濃度50ng/ml以上の高値を示した27症例のうち17例で根治治療(根治放射線化学療法および根治切除)が行われたが、このうち13例では治療後の濃度が50ng/ml未満に低下した。一方、根治治療を行わなかった10例のうち7例が100ng/ml以上の著高値を示し、7例はいずれも原病死した。 以上より、現時点において以下の結論を得ており、今後も測定と検討を続けていく予定である。 1)末梢血中のラミニンγ2鎖濃度の正常上限は50ng/ml程度である。 2)進行癌症例を中心に、血中ラミニンγ2鎖濃度が正常上限を越えて上昇する症例がある。 3)治療前の血中ラミニンγ2鎖濃度が正常上限を越えて上昇している症例では、腫瘍の消失と並行して血中ラミニンγ2鎖濃度の低下がみられる。 4)頭頸部癌が進行した終末期(に近い)状態では末梢血中のラミニンγ2鎖濃度が100ng/ml以上の著高値を示す場合がある。 5)末梢血中ラミニンγ2鎖濃度は頭頸部癌の悪性度や治療の奏効度を示す新たな腫瘍マーカーとして期待できる。
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Research Products
(2 results)