2005 Fiscal Year Annual Research Report
下咽頭癌の浸潤転移を規定する既存、新規分子の発現と予後との関連性
Project/Area Number |
17591800
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
中山 明仁 北里大学, 医学部, 講師 (20207955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 雄一 北里大学, 医療衛生学部, 助教授 (30178793)
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Keywords | Autocrine Motility Factor / Neuroleukin / DJ-1 |
Research Abstract |
"下咽頭癌の浸潤・転移を規定する新規分子の解析"の一環として癌細胞が自ら分泌するAutocrine Motility FactorであるNeuroleukin(癌細胞の遊走・転移に関与)とRNA binding regulatory subunitであるDJ-1(癌細胞の分化・増殖に関与)の2因子について高感度in situ hybridization法を用いて染色を行った。従来パラフィン包埋切片では解析が困難とされてきた微量mRNAの検出をジゴキシゲニン標識complementary RNAプローブの導入や標識tyramideなどの工夫を加え染色を行った。対象は下咽頭癌手術症例20例で、house keeping geneであるβ-2マイクログロブリンを用いてRNAの保存を確認できた症例について染色を行った。9例は長期生存例、11例は原病死症例である。NeuroleukinはDJ-1に比し染色性が強く、全体的にinvasive frontにより強く染まる特徴を示した。Neuroleukinでは分化度が低く、散布性進展を呈する症例が有意に染色性の増強を示していることがわかった。Neuroleukinの染色スコアと全20症例の5年生存率の関係では染色性と予後に関連が示唆されたが、有意な関係ではなかった。 下咽頭癌症例のパラフィン包埋切片においてもNeuroleukinとDJ-1のmRNAの染色が高感度ISH法にて可能であった。Neuroleukinでは増殖先端部と壊死巣周囲において染色性の増強が観察された。両染色とも下咽頭癌の臨床経過との関連性があり、新たな予後因子となりうることが示唆された。これらの結果は他の予後因子の知見と合わせて、下咽頭癌の部分切除の際に参考になりうるかどうか今後の検討課題と思われる。
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