2005 Fiscal Year Annual Research Report
網膜色素変性の治療法開発の為の分子病態の解明、および遺伝疫学研究
Project/Area Number |
17591817
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
和田 裕子 東北大学, 病院, 講師 (70302130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板橋 俊隆 東北大学, 病院・助手 (20372295)
辻 一郎 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20171994)
佐藤 肇 東北大学, 病院・講師 (10312571)
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Keywords | 網膜色素変性 / 遺伝子変異解析 / 表現型 / 遺伝的異質性 / スクリーニング |
Research Abstract |
網膜色素変性に代表される遺伝性網膜変性疾患は、遺伝的異質性に富む疾患である。原因遺伝子は他種類に及び現在まで報告されている原因遺伝子をスクリーニングしてもその一部が解明されているにすぎない。本研究では日本人 遺伝性網膜変性疾患患者に対してスクリーニングを施行し,遺伝子変異の頻度,臨床像の特徴を検討した。日本人常染色体優性網膜色素変性96家系に対してすべての原因遺伝子を用いてスクリーニングし日本人患者における遺伝子変異の種類と頻度を同定した。海外ではロドプシン遺伝子変異は常染色体優性網膜色素変性の25%に認められるが日本人では約4%で非常に低頻度である。RP1遺伝子変異も海外では約8%に認められるが日本人では1%で低頻度である。さらに海外でのmutational hot spotsであるロドプシン遺伝子Pro23His、Pro347Leu変異、RP1遺伝子のArg677X変異、IMPDH1遺伝子のAsp226Asn変異は日本人患者ではhot spotsにならないことを証明した。PRPF31,Peripherin/RDS遺伝子、HPRP3遺伝子、IMPDH1遺伝子はほぼ海外と同頻度である。一方、FSCN2遺伝子208deG変異は日本人患者のみに認められ、日本人固有の遺伝子異常であることを証明した。以上のことより、遺伝子変異には人種差が大きく関与し、日本人は固有の遺伝子異常をもつ可能性を示した。Leber先天盲72家系の患者GUCY2D,RPE65,RDH12,AIPL1,CRB1,LRAT遺伝子変異検索を施行した。海外での高頻度変異であるGUCY2D遺伝子変異は認められず,RDH12,AIPL1遺伝子に新規変異を求めた。日本人Leber先天盲では,既知の遺伝子を用いて検索を施行した結果,遺伝子変異が判明している患者は10%以下であった。クリスタリン網膜症ではCYP4V2遺伝子変異が日本人クリスタリン網膜症の原因遺伝子でありさらにエクソン7がホットポイントである事を証明した。我々の遺伝子変異解析の結果を基にデーターベース化を施行した。 疫学研究の一環の中で,患者のストレス度を検索した。全ての年齢において,網膜色素変性患者では,活力が低下している事が判明した。病気とストレス等の環境要因の関連は一年の経過では明確ではないが,研究期間内に追跡研究を行う。
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Research Products
(5 results)