2005 Fiscal Year Annual Research Report
網膜神経細胞障害としてみた糖尿病網膜症における分子病態と治療法開発戦略
Project/Area Number |
17591819
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山下 英俊 山形大学, 医学部, 教授 (90158163)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 禎子 山形大学, 医学部, 客員助教授 (00297706)
佐藤 浩章 山形大学, 医学部, 助手 (30344807)
柏木 佳子 山形大学, 医学部, 客員助手 (90375345)
佐藤 さくら 山形大学, 医学部, 医員 (60323169)
|
Keywords | 糖尿病 / 糖尿病網膜症 / 網膜血管 / 網膜神経細胞 / 糖代謝異常 / 血管内皮増殖因子(VEGF) / DGKα / PKCβ1 |
Research Abstract |
網膜光凝固、硝子体手術などの治療により糖尿病網膜症による失明、視力低下を阻止し治療することが可能になった。しかし、高血糖状態で有効に網膜血管病変を治療するためには有効な薬物治療法を早急に開発することが必要である。薬物治療法開発のターゲットとしては網膜神経細胞の病態を是正し、網膜血管が傷害されるメカニズムを抑制する治療がとくに糖尿病初期では重要である。網膜神経の糖尿病における分子障害機序を研究するために本研究では網膜由来の神経細胞として網膜芽細胞腫細胞株を用いた。 (1)高濃度糖負荷および過酸化水素付加により培養網膜芽細胞腫細胞においては、血管内皮増殖因子(VEGF),糖代謝関連遺伝子DGKαが誘導され、これらはmRNAレベル、蛋白質レベルで誘導された。PKC-β1の細胞内分布の変化が見られた。DGKαおよびPKC-β1ともにVEGF産生に関連していた。 (2)DGKα、VEGFの網膜内での働きを動物モデルで検討した。ストレプトゾトシン投与高血糖モデルラットの網膜における、発現を見たところ、高血糖状態で、網膜における発現が平行して上昇するのがみられた。 以上より、高血糖状態の網膜では、網膜細胞においてDGKαおよびPKC-βの下流に血管病変をひきおこすVEGFの発現上昇が誘導される。この現象はとくに糖尿病初期に起こることが考えられる。高血糖による血管病変を抑制するためには網膜神経細胞におけるPKC-β1の抑制に加えてDGKα活性化を抑制する必要がある。
|
Research Products
(7 results)