2005 Fiscal Year Annual Research Report
網膜色素変性の遺伝的免疫学的手法を中心とした多面的解析による病態解明の試み
Project/Area Number |
17591831
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
万代 道子 京都大学, 医学研究科, 助手 (80263086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋元 正行 京都大学, 医学研究科, 助手 (90303453)
高橋 政代 京都大学, 医学研究科, 助教授 (80252443)
小杉 眞司 京都大学, 医学研究科, 教授 (50252432)
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Keywords | 色 / 遺伝子診断 / 自己免疫網膜症 |
Research Abstract |
遺伝子診断については色素変性原因として報告されている30遺伝子110エキソンについて、同意の得られた外来患者を対象に、変性HPLCを用いたスクリーニングとシークエンスによる確認を行った。検体数はセットアップ時のものを加えて180検体の結果をほぼ得た。180検体のうち、セット中の色素変性原因遺伝子検索では31検体でスクリーニング対象部位中に遺伝子変異を認めた。原因遺伝子のうちわけとしてはRDSの変異が最も多く13検体(この中には2家系6名を含む)でみられ、ついでRHOの変異が7検体でみられた。さらにFSCN2 3検体、CRX 3検体、PDE6B 2検体、IMPDH 1例、RP11、CRB1、RPGR,各1例みられた。またこれらの変異の約半分は新規のものであり、実際疾患の原因となる変異かどうかについては今後家族検索などによる確認を要する。またこれらの類縁疾患としてクリスタリン網膜症(CYP4V2)2例、小口病(RHO kinase)1例なども診断した。我々の施設では、家族歴聴取などから遺伝的背景の明らかなでないものも含めて遺伝子診断を行っているが、31検体中20検体においては家族歴不明または弧発例とされていたが、これらの症例は変異の検出された報告遺伝子よりほぼ遺伝パターンを推察することが可能であった。また、免疫学的解析については自己免疫網膜症の原因抗原の一つとされるリカバリンについて、全例ELISAおよびウェスタンブロッティングを行った。180例中SLISAで陽性と判断されたものは16例で、そのうち8例ではウェスタンでも陽性であった。これらの自己抗体保持者の中には遺伝子変異をもつものもあり、遺伝的背景による色素変性と自己免疫網膜症との関連についてはさらに今後検討を要する。また、臨床面においてはGDXを用いて色素変性患者の神経節細胞層の定量的評価を行ったところ、視野障害の進行例においても神経節細胞層は保たれている可能性が示唆された。さらに現在、OCT、HRAによる自発蛍光などのデーターを蓄積中であり、遺伝的背景との相互的比較解析は今後行っていく予定である。
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Research Products
(4 results)