2006 Fiscal Year Annual Research Report
網膜色素変性の遺伝的免疫学的手法を中心とした多面的解析による病態解明の試み
Project/Area Number |
17591831
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Research Institution | RIKEN |
Principal Investigator |
万代 道子 独立行政法人理化学研究所, 網膜再生医療研究チーム, 研究員 (80263086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋元 正行 独立行政法人理化学研究所, 網膜再生医療研究チーム, 客員研究員 (90303453)
高橋 政代 独立行政法人理化学研究所, 網膜再生医療研究チーム, チームリーダー (80252443)
小杉 眞司 京都大学, 医科学研究科, 教授 (50252432)
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Keywords | 網膜色素変性 / 自己免疫網膜症 / 抗リカバリン抗体 / 遺伝子診断 / 網膜光干渉断層像 / 網膜自発蛍光 |
Research Abstract |
網膜色素変性患者250名の採血を行い、優性遺伝形式の原因遺伝子について237名、劣性遺伝形式の原因遺伝子について156名までほぼ解析を終了し、34名において疾患原因候補の遺伝子変異を検出した。これらの患者の多くで血清中抗リカバリン抗体価は中等度上昇し、特に抗体価が有意に高いと思われる症例について検討すると通常の色素変性では眼底の色素沈着を伴う変性領域と視野が良く相関するのに対し、抗体価の高い症例では色素沈着領域を超える視野狭窄進行例が散見され、急速な病期進行のみられた症例等も含まれていた。このことから抗体価の高い症例では自己免疫網膜症の要素が含まれていることが推察された。これら抗体価の高い症例の中に遺伝子診断にて遺伝的背景が判明しているものもあり、変性網膜の自己蛋白に対する免疫反応が惹起され病態の進行が修飾された可能性も考えられた。 また、色素変性患者の高解像度網膜光干渉断層像(OCT)と視野及び自発蛍光を総合的に解析し、正常な色素上皮機能を反映するとされる通常の自発蛍光を示す領域が、(1)OCT上で健常視細胞外節の存在を示唆する領域とほぼ一致する症例と(2)同様の健常視細胞外節存在領域の方が小さいと思われる症例があることがわかった。(1)では自発蛍光領域がほぼ一様であるのに対し、(2)では健常な視細胞外節が残存すると思われるほぼ境界領域に特に自発蛍光輝度の強い輪状領域があることが観察され、(1)では色素上皮と視細胞の変性がほぼ同時進行していると考えられるのに対し、(2)においては視細胞の変性が先行し、変性の激しい領域で色素上皮からの自発蛍光が高輝度となっている可能性が考えられた。これらは色素変性において相互依存的である「視細胞-色素上皮」コンプレックスとしての変性過程が一様でないことを示唆していると思われた。
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Research Products
(5 results)