2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17591835
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 誠 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (80273788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 博之 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (60335453)
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Keywords | 糖尿病網膜症 / アポトーシス / 神経保護 |
Research Abstract |
網膜グリア細胞の活性変化は、緑内障と糖尿病網膜症の共通した病理変化であることが知られている。ラットの片眼を上強膜静脈焼灼処理することで、慢性人工的高眼圧状態とし、処理眼と反対眼のミュラー細胞とアストロサイトのglial fibrillary acidic protein(GFAP)発現変化を経時的に観察した。 上強膜静脈焼灼により、3日後の時点で、眼圧は約28mmHgまで上昇し、3ヶ月まで反対眼に比べ有意な上昇を維持していた。綱膜伸展標本と免疫染色により、焼灼後3日の時点で、アストロサイトはGFAPの免疫染色性を失ったのに対し、ミュラー細胞は逆に獲得していた。この変化は経時的に回復していたが、眼圧正常化後も持続していた。一方反対眼では、1ヶ月より焼灼眼と同様の変化が見られ始め、6ヶ月の時点で左右眼の変化は同程度となった。1次元ならびに2次元電気泳慟でも、ミュラー細胞の発現変化を反映して、GFAPの発現量が焼灼後高眼圧眼では著明に増加し、また等電点の変化も生じていた。反対眼でも3ヶ月後から同様な変化がみられた。年令対照眼では、経時的なGFAP発現変化はみられなかったことより、これらの変化は加齢によるものではなく、高眼圧眼では眼圧上昇の直接的影響で、反対眼では、処置眼により感作された免疫応答により、生じている可能性が推察された。 また、網膜は、他の組織に比べて、インスリン受容体と下流の細胞内情報伝達経路が恒常的に活性化されていることが知られている。ストレプトゾトシン糖尿病ラットにおいて、インスリン受容体の自己リン酸化、インスリン受容体基質酵素活性、Akt酵素活性が免疫沈降とウエスタンブロット法を用いて見いだした。糖尿病網膜症にみられる神経節細胞死やグリア活性変化の一因が、インスリン受容体シグナルの感受性低下にある可能性が推察された。
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Research Products
(3 results)