2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17591835
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 誠 Kobe University, 医学部附属病院, 講師 (80273788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 博之 神戸大学, 医学部, 非常勤講師 (60335453)
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Keywords | 糖尿病網膜症 / 網膜神経節細胞 / アポトーシス / 神経保護 / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
不死化ラット網膜神経節細胞株RGC-5細胞に24時間の血清除去でアポトーシスを誘導した。XTTアッセイで一酸化窒素供与体であるニプラジロールは濃度依存性にRGC-5細胞死を抑制した。その至的濃度は10μMであった。活性型カスパーゼ3免疫染色により、ニプラジロールは同様の至的濃度でRGC-5細胞のアポトーシスを濃度依存性に抑制する一方、分子内に一酸化窒素をもたないニプラジロール誘導体(脱ニトロニプラジロール)は、この作用を持たないことが判った。蛋白燐酸化酵素A(PKA)の選択的阻害薬KT-5720と同G(PKG)の阻害薬KT-5823はニプラジロールの抗アポトーシス作用を阻害した。さらに、Fluo-4 spectrophotometryにより細胞内カルシウム濃度を測定すると、3mMのグルタミン酸暴露でRGC-5細胞内には著明なカルシウムの流入が生じるが、ニプラジロールを前処置ないし同時投与しておくと、カルシウム流入は約30%抑制された。以上より、ニプラジロールは一酸化窒素供与により、PKAとPKGの経路を介して網膜神経節細胞のアポトーシスを抑制し、細胞内カルシウム流入をも阻害して、同細胞死を抑制することが判明した。 次に、ニプラジロール点眼が、一酸化窒素供与により、糖尿病網膜の神経細胞死を抑制することができるかを調べるために、雄Spragure-Dawleyラットにストレプトゾトシンを注射して糖尿病を誘導し、4週ないし12週後にニプラジロールないし脱ニトロニプラジロール点眼を片眼に5日間投与した。その後、網膜を摘出し、伸展標本を作製して、terminal dUTP nick end labeling(TUNEL)染色を、また眼球を摘出して、薄切切片を作製して、活性型カスパーゼ3免疫染色を行った。結果、基剤ないし脱ニトロニプラジロール点眼群では、対照ラットに比べて網膜単位面積あたりのTUNEL陽性細胞や神経節細胞層の活性型カスバーゼ3陽性細胞数は有意に増加していた。これに対し、ニプラジロール点眼群ではその数は対照と有意差はなかった。以上より、ニプラジロールはin vivoにおいても糖尿病による網膜神経細胞死を抑制する効果があることが判った。
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Research Products
(4 results)