2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17591839
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
畑 快右 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (90346776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下川 宏明 東北大学, 医学研究科, 教授 (00235681)
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70108710)
石橋 達朗 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30150428)
園田 康平 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (10294943)
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Keywords | 糖尿病網膜症 / 糖尿病網膜硝子体症 / 黄斑浮腫 / VEGF / 硝子体細胞 / PDGF / TGF-beta / Rho-kinase |
Research Abstract |
黄斑浮腫を含めた網膜症の病態形成には網膜内の変化ばかりでなく、硝子体の病的変化が重要であると考えられるようになってきており、単に網膜症というより網膜硝子体症という概念が定着しつつあるが、詳細なメカニズムについては不明な部分が多い。 我々は硝子体中に存在するマクロファージ系細胞である硝子体細胞が、糖尿病眼の硝子体中で濃度亢進する血小板由来増殖因子(PDGF)の作用で増殖・遊走・ゲル収縮能を獲得し、さらにゲル収縮能は形質転換因子beta(TGF-beta)によって著明に促進されることを明らかにした。硝子体細胞によるゲル収縮作用にはRho-kinaseが重要な役割を果たしており、眼科領域ではまだ臨床応用に至っていないRho-kinase阻害剤によって、硝子体細胞の筋線維芽細胞への形質転換や収縮のシグナルを有意に抑制しうることを明らかにし、未だ確立していない網膜症に対する薬物療法の可能性を示した。 一方、糖尿病網膜症による視力障害の主因の一つは血管透過性亢進を軸とした黄斑浮腫である。その病態に深く関わると考えられているサイトカインが血管内皮増殖因子(VEGF=血管透過性因子:VPF)である。我々は、硝子体細胞による網膜症の病態形成への関与について、上記したような機械的な牽引ばかりでなく、硝子体細胞自身がVEGFを初めとした種々のサイトカインやケモカインの産生源となっていることを明らかにした。さらにステロイドがそれらの発現を阻害しうることも明らかにした。 このように硝子体細胞が、機械的因子とともに液性因子を介して硝子体網膜症の病態に深く関与する可能性を示すと同時に、そのメカニズム、治療戦略に関する新たな知見を得ることができた。
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Research Products
(7 results)