2006 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性サイトカインが消化管運動に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
17591863
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERCITY |
Principal Investigator |
秋吉 潤子 九州大学, 大学病院, 医員 (20380412)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
家入 里志 九州大学, 大学病院, 助手 (00363359)
水田 祥代 九州大学, 大学病院, 教授 (30038856)
田口 智章 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (20197247)
増本 幸二 九州大学, 大学病院, 講師 (20343329)
|
Keywords | 消化管平滑筋 / 炎症性サイトカイン / 細胞内カルシウム濃度 / 消化管運動 / ヒルシュスプルング病 |
Research Abstract |
1.目的 本研究の主たる目的は正常腸管との相違を含めて血中に放出された炎症性サイトカイン(IL-1β、IL-6)が消化管運動に影響を及ぼすかどうか、また影響を及ぼす場合に関して平滑筋細胞レベルでその機序を明らかにすることである。 2.方法 正常腸管平滑筋におけるIL-1β、IL-6の及ぼす影響について見当した。 (1)モルモット結腸紐、3.結果と考察モルモット結腸紐ではIL-1β、1L-6存在下でのCChによる発生張力は、高カリウム溶液による脱分極刺激の際の張力と比較して、有意な違いはみられなかった。また、細胞内カルシウム濃度の測定においては蛍光反応のシグナルを十分に得ることができなかった。これは平滑筋条片がIL-1β、IL-6によって細胞障害をきたしたものと考えられ、炎症性サイトカインのincubation timeに問題があると思われる。一方、病的腸管からのアプローチとしてHirschsprung病での消化管運動を取り上げた。疾患モデル(Hirschsprung病モデルラット;endothelin B受容体遺伝子欠損ラット)を用いて、その腸管平滑筋の収縮特性について生理学的実験をおこなった。まず、本モデルラットの腸管平滑筋の収縮特性を明らかにするために張力-細胞内カルシウム濃度同時測定法によって、その収縮メカニズムを検討したところ、無神経節腸管ではSubstance Pによる発生張力の低下がみられ、正常腸管に比べてカルシウムチャネルの発現量が低下していることがその主たる原因であると考えられた。さらに、Rho kinase inhibitorを用いてRho kinaseを介した収縮経路について検討したところ、無神経節腸管でもRho kinaseを介する経路は正常に機能しており、無神経節腸管の機能不全の原因とは考えにくいことが明らかとなった。3.結果と考察モルモット結腸紐ではIL-1β、1L-6存在下でのCChによる発生張力は、高カリウム溶液による脱分極刺激の際の張力と比較して、有意な違いはみられなかった。また、細胞内カルシウム濃度の測定においては蛍光反応のシグナルを十分に得ることができなかった。これは平滑筋条片がIL-1β、IL-6によって細胞障害をきたしたものと考えられ、炎症性サイトカインのincubation timeに問題があると思われる。一方、病的腸管からのア
… More
プローチとしてHirschsprung病での消化管運動を取り上げた。疾患モデル(Hirschsprung病モデルラット;endothelin B受容体遺伝子欠損ラット)を用いて、その腸管平滑筋の収縮特性について生理学的実験をおこなった。まず、本モデルラットの腸管平滑筋の収縮特性を明らかにするために張力-細胞内カルシウム濃度同時測定法によって、その収縮メカニズムを検討したところ、無神経節腸管ではSubstance Pによる発生張力の低下がみられ、正常腸管に比べてカルシウムチャネルの発現量が低下していることがその主たる原因であると考えられた。さらに、Rho kinase inhibitorを用いてRho kinaseを介した収縮経路について検討したところ、無神経節腸管でもRho kinaseを介する経路は正常に機能しており、無神経節腸管の機能不全の原因とは考えにくいことが明らかとなった。3.結果と考察モルモット結腸紐ではIL-1β、1L-6存在下でのCChによる発生張力は、高カリウム溶液による脱分極刺激の際の張力と比較して、有意な違いはみられなかった。また、細胞内カルシウム濃度の測定においては蛍光反応のシグナルを十分に得ることができなかった。これは平滑筋条片がIL-1β、IL-6によって細胞障害をきたしたものと考えられ、炎症性サイトカインのincubation timeに問題があると思われる。一方、病的腸管からのアプローチとしてHirschsprung病での消化管運動を取り上げた。疾患モデル(Hirschsprung病モデルラット;endothelin B受容体遺伝子欠損ラット)を用いて、その腸管平滑筋の収縮特性について生理学的実験をおこなった。まず、本モデルラットの腸管平滑筋の収縮特性を明らかにするために張力-細胞内カルシウム濃度同時測定法によって、その収縮メカニズムを検討したところ、無神経節腸管ではSubstance Pによる発生張力の低下がみられ、正常腸管に比べてカルシウムチャネルの発現量が低下していることがその主たる原因であると考えられた。さらに、Rho kinase inhibitorを用いてRho kinaseを介した収縮経路について検討したところ、無神経節腸管でもRho kinaseを介する経路は正常に機能しており、無神経節腸管の機能不全の原因とは考えにくいことが明らかとなった。病モデルラットの結腸平滑筋条片を作製し、蛍光カルシウム指示薬(Fura-2/AM)を37℃で3時間負荷した。 (2)この平滑筋条片をアゴニスト等で刺激した際の収縮反応における細胞内カルシウム濃度と張カを、細胞内カルシウム-張力同時測定装置を用いて測定した。 3.結果と考察モルモット結腸紐ではIL-1β、1L-6存在下でのCChによる発生張力は、高カリウム溶液による脱分極刺激の際の張力と比較して、有意な違いはみられなかった。また、細胞内カルシウム濃度の測定においては蛍光反応のシグナルを十分に得ることができなかった。これは平滑筋条片がIL-1β、IL-6によって細胞障害をきたしたものと考えられ、炎症性サイトカインのincubation timeに問題があると思われる。一方、病的腸管からのアプローチとしてHirschsprung病での消化管運動を取り上げた。疾患モデル(Hirschsprung病モデルラット;endothelin B受容体遺伝子欠損ラット)を用いて、その腸管平滑筋の収縮特性について生理学的実験をおこなった。まず、本モデルラットの腸管平滑筋の収縮特性を明らかにするために張力-細胞内カルシウム濃度同時測定法によって、その収縮メカニズムを検討したところ、無神経節腸管ではSubstance Pによる発生張力の低下がみられ、正常腸管に比べてカルシウムチャネルの発現量が低下していることがその主たる原因であると考えられた。さらに、Rho kinase inhibitorを用いてRho kinaseを介した収縮経路について検討したところ、無神経節腸管でもRho kinaseを介する経路は正常に機能しており、無神経節腸管の機能不全の原因とは考えにくいことが明らかとなった。 Less
|