2006 Fiscal Year Annual Research Report
褥瘡病理標本におけるMRSAの組織化学的証明と院内感染防止への貢献
Project/Area Number |
17591880
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Research Institution | FUJITA HEALTH UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大西 山大 藤田保健衛生大学, 医学部, 研究生 (00257669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 龍一 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (20360232)
堤 寛 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (80138643)
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Keywords | 感染症 / 抗生物質 / 病理学 / 創傷モデル動物 / 創傷治癒 / 褥瘡 / 組織化学 / MRSA |
Research Abstract |
本研究により、以下の成果を得た。 1)前年度、in situ hybridization (ISH)法および免疫組織学化学によってPBP-2'陽性で、褥瘡感染の原因がMRSAであることを病理学的に評価した。これを礎に、今年度は、新たに褥瘡手術切除で得られた潰瘍創50例を対象に、黒色褥瘡における二層構造の病理病態学的意義を明らかにする目的で、ISH法および免疫組織学化学検討を施行した。組織切片中の表層部のグラム陽性球菌に関する情報を得るために、ISH法により黄色ブドウ球菌であることを検討した。このうちの39例に関しては、ISH法ならびに免疫組織学化学によってPBP-2'陽性で、黒色褥瘡における表層に分布する感染の原因菌が、MRSAであることが確定診断した。これにより、黒色褥瘡の二層構造の細菌分布の病理学的評価を終了した。 2)前年度、われわれは創傷モデルを利用した創部への消毒薬の使用は、不要であることを示唆した。今年度は、実際の臨床現場の医療従事者に対して「消毒に関するアンケート調査」を行った結果、医療従事者への不必要な消毒薬の乱用の歯止めおよび教育に貢献できた内容であった。 3)われわれは前年度と今年度に創傷モデルを利用した創傷治癒に対する水道水洗浄の有効性に関して実験的検討を行った。この結果、創部を水道水で洗浄することにより、創閉鎖までの所要日数が有意に早く完了したため創部への水道水の使用は、有効であることが示唆された。 4)以上より、黒色褥瘡における表層に分布する感染の原因菌であるMRSAの病理組織学的検出および臨床例における系統的解析に伴った抗生物質の適正な使用、消毒薬の不必要な乱用の防止および水道水洗浄の有効性を推進することで、院内感染防止への提言ができた。
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Research Products
(6 results)